MACHI LOG

金融都市ドイツのフランクフルトが躍動感ある街である理由

金融都市ドイツのフランクフルトが躍動感ある街である理由

    CATEGORY: AREA:地域活性化の海外事例

Frankfurtは金融都市で知られ、日本からのドイツ直行便の窓口。馴染みのある方も多いのではないでしょうか。ただ、空港から市街へ赴く方は意外に少ないのではないでしょうか。Frankfurtにも都市機能と街並みを共存する素敵なまちづくりが行われています。



あなたの街で大切にしたいものを徹底的に愛そう

フランクフルト空港近距離駅[Frankfurt (Main) Flughafen Regionalbahnhof]から、S-Bahn(都市近郊列車)を利用して、フランクフルト中央駅(Frankfurt Hauptbahnhof)へ。約15分程度に、Frankfurtの市街地は広がっています。
レーマー広場(Romerberg Platz)やバルトロメウス大聖堂、またその周辺のマイン川河畔では、第二次世界大戦で破壊された旧市街・建造物が復元され、落ち着いた町並みを創り出しています。その一方で、金融街として大手銀行などがひしめく超高層ビルが林立する一角も存在し、互いが共存している街です。

Frankfurtのシンボルはなんといってもバルトロメウス大聖堂。街の人たちもこの大聖堂を愛し、大切にしていることがまちづくりに表れています。大聖堂の周りには高い建物は建設されていません。市内のあらゆるところからその荘厳な姿を楽しむことができるようになっています。そして、大聖堂周辺の旧市街も、第二次大戦で破壊されたものを全て当時の形へと見事なまでに復元を重ねてきました。
こうしたことは大変な作業であったと推測されますが、訪れる人々が「この街が大切にしているもの」を感じ、共感を得ることができるのです。街が誇れるものを徹底的に愛して、大事にする姿勢を示すのがとても大切なこと。あなたの街で大切にしたいものは何でしょうか。そして、それを徹底的に愛してみませんか?

機能別に配置したまちづくり

Frankfurtは先にも述べたように、しっかりと地区別に機能を分けているところにも特徴があります。
街の機能が雑多に分散されて配置されると、その街や地域のコンセプトが薄れて、「〇〇の街」といってみても説得力が無い。Frankfurtはその点、世界との玄関である空港エリア、歴史的町並みを保存するエリア、金融街をはじめとするビジネス活動が行われるエリアがしっかりと機能別に分けられていて、それぞれ集合することの強みや良さが引き立ちます。
複数の資源をもつ街にとっては、このように機能別に街をまとめることで、ひとつの顔でなく様々な面をもった、多様な街づくりが可能となります。つまり、集約することで機能空間の質が高まり、その特色が高まることによる地域のブランド化効果が得られるのです。
但し、地区間の交流・交流は必ず意識し、そのインフラを整備することは必要。これが無いと街が分断されてしまい、互いの良い面が生かされなくなってしまうので、交通網を整備する等、人の行き来が容易であるような工夫は必要ではあります。そんなインフラを整備するお金は無い、という意見もあるかと思います。道路や鉄道といったインフラもありますが、Frankfurtは動脈として「マイン川」を利用しています。舗装された広大な川沿いの遊歩道、水上バス等の交通網。そんな地の利も十分に生かし、こうした問題を克服しています。

躍動感ある、まるで生き物のような街Frankfurt

Frankfurtを俯瞰すると、まるで生き物のよう。道路、川、空路といった動脈に、人が流れ、それぞれ特徴をもった地区に人のエネルギーがどんどん発揮されています。ビジネスアワー後の河川敷は、ジョギング、散歩やサイクリング等を楽しむ人々、シートを広げておしゃべりを楽しむ人々、リバーサイドのレストランで食事を楽しむ人々など、それぞれが想い想いの過ごし方を満喫している光景が印象的でした。
脈動感あふれ、活気にあふれる、人が流れを生み出す都市構造は、各機能が共存するまちづくりとして非常に参考になるでしょう。