RSVPはシンガポールでシニア世代を対象にしたパソコン教室からスタートしたアクティブエイジング活動をする団体。
いまでは教えるだけでなく、そこに参加するシニアの方々たちの持つ得意分野を活かして様々な教室や活動を行い、その範囲は広がっています。ここで出会ったシニア世代の方々はほんとうにみんなイキイキ!この元気や活力が湧く、RSVPの仕組みづくりとはいったいどういうものなのでしょうか。
高齢者のスキルが社会に活きる!
RSVPは、高齢化が急激に進むシンガポールで、「シニア世代のリソース活用」を目的に、1998年シンガポール政府が主導となって設立されました。
当初は、シニア世代に、パソコンの起動から、Emailやe-shop等を利用して生活を楽しんでもらおう、という活動が中心でした。
しかし10年以上経過した今では、パソコン教室を卒業した後は、教室の枠を飛び出して、シニアの方々が持つ経験とスキルを活かしたボランティア出張サービスを提供しています。
最初は、パソコン教室の生徒だったのが、スキルアップして講師になったり、病院や家に訪問してのリハビリのお手伝いをしたり、チャンギ空港での案内、学校での英語講師、移民・留学生等へのホスティングサービス、心の病を抱える子供達のカウンセリング等々多彩で幅広い活動を展開しています。
徹底したデータ分析で顧客にニーズを知る
RSVPでの面白い取組として、シニア世代によるコンサルティングサービスがあります。
メンバーがパソコン教室を通じて集まり、会計士や弁護士等のプロフェッショナルな仕事をしていた人が多くいるというリ
ソースから、ソーシャルエンタープライズとしてやってみたら面白いのではないか、という話になったそうです。
現在ではこのコンサルティングサービスを発展途上の国々に対してサービスを提供しています。
成功の秘訣は、社会ニーズとスキルの徹底したデータ分析管理
こうして活動が広がっていった要因として「個々の才能とソーシャルニーズをうまくマッチングしていくことに力を入れています。」と語るのは、RSVPのMarieさん。
活動を支える重要なポイントは、「強力なマネジメント体制」と「シニア世代のスキルと経験」の二点です。
強力なマネジメント体制を作るため、RSVPではデータ管理を徹底して行っています。
ボランティア活動を行うメンバーのスキルに関するデータベースを作っており、スキルアップがあればそれを逐次アセスメントし、常に最新のデータを持っているそうです。
一方ソーシャルニーズを捉えるのは、サーベイやアンケートで希望を拾う事です。そして、実施するプログラムにも様々なオプションを用意して、アンケートをとって、「トライアンドエラー」を繰り返しているそうです。
こうした過程のなかで最適なマッチング、スキルセットに応じたプログラムを作りあげていき、進化をしていきます。
メンバーがボランティア活動をして「楽しい」という気持ちももちろん大事にしますが、徹底したデータ管理を行うことで、いかにソーシャルニーズとマッチングしていくか、に重点をおいてきたことが、活動が発展していった理由といえるのではないでしょうか。
多くの人のニーズがあるボランティア活動をすることで、多くの人からの喜びを感じることによって、充実感を得て、また次もがんばろう、もっと多くの人に喜んでもらおう、という気持ちにつながるからです。
生徒が先生になり、スキルが循環していく
この活動を支えるもう一つの秘訣は、学んだことによって先生となり、教える側となること。
写真の方は、パソコンを触ったこともなかったけれども、2年間教わったことで、今では先生になり、クラスを持って教えるまでになりました。
「教えることを通じて、みんな自信をもってくるようになります。同年代同士で気兼ねしないよう、互いに教え学び合う環境があって、楽しくスキルアップできるのです。こうして、教える側の先生になりたい、とう希望者もでてくるのです」。ここでも自信をもたせることで、メンバーの意識を変えていく仕組みが確立されています。
個性が活きる舞台づくり
シニア世代一人一人が持つ才能や個性を十分に尊重して、かけがえのない財産として認識すること、そしてそれぞれが活躍できるような「舞台づくり」を行うことが重要だ、ということをRSVPの活動は教えてくれています。
活躍する舞台があるからこそ、活き活きと積極的に取り組む姿勢、多くの人の喜びを受け、それが自分への自信につながり、さらにスキルアップをして教える側に回るなど、良い循環を生み出しているのです。