日本の将来を描くイベント「Lead Japan Summit 先駆者と語る日本の未来」の一環で、「イノベーションを社会実装する里山都市構想」というテーマで金沢工業大学が主催するイベントが開催されました。
先進的な取り組みで注目を集める金沢工業大学
金沢工業大学は、石川県に拠点を置く私立大学。理念に「高遇な人間形成」「深遠な技術革新」「雄大な産学協同」を掲げ、技術者や研究者の育成を行うことはもちろん、学外との連携も積極的に行うなど、先進的な取り組みを行っています。
オープンイノベーションを促進する「SENQ霞が関」
会場となったのはSENQ霞が関です。
「社会と地域の課題をともに解決していく共創の場」としてオープンしたコワーキングスペースで、ベンチャー、大企業、地方自治体、地域リーダー、官公庁などを結ぶハブとなり、「日本を元気にする新たなイノベーションを起こす」ことを目指す場です。
金沢工業大学の里山新構想とは
金沢工業大学は、古くから山岳信仰のあった石川県・白山の自然豊かな里山に、「白山キャンパス」を設立するための準備を進めています。
その中核構想となるのが「新時代里山都市を創造する白山キャンパス構想」です。
学長である大澤敏さんは、「世代を超えた共創が必要」だと言います。
健康、衣食住、自然と共創する知恵は、山の中にある。緑の中で、新しい発想で、人口減少する日本社会の将来を見据えた挑戦が必要。
と指摘します。
山に未来の都市を一緒に作る「里山都市構想」
産学連携局次長の福田崇之さんは、「里山都市構想は、市民の方と一緒にイノベーションを生むことを目指す」と言います。
IoTやAIなどを用いた学習支援、生活基盤の実装など、イノベーティブな学習や生活の環境を作ります。山に、新しい都市を作っていく挑戦です。大学だけでなく、市民の方、企業、クリエイター、アーティストなど、様々な方との連携を通じて新時代の都市を目指します。
SENQとの連携も、人財や機会の交流のための取組であることが語られます。
イノベーションと学術の関係を探る
本イベントの基調講演を行ったのは、文筆家・ゲーム作家の山本貴光さんです。
「百学連環の計-発見と発想のための結合術」と題し、イノベーションの語源から、学術とイノベーションの本来と未来に向けての講演が行われました。
イノベーションには、革新による変化だけではなく、哲学による方向付けが必要と語り、イノベーションと学術をめぐる時間がスタートします。
森羅万象の関係を視野に入れて、既知と未知のあいだで問を創る。百学(サイエンス、アート、エンジニアリング、デザイン)を自在に組み合わせる。環境のデザインをつうじて人の行動と体験をデザインする
イノベーションを取り巻く歴史的な文脈から、ゲーム制作における発想などにも触れながらまとめ上げられた講演となりました。
会場はさながら大学の人気講義のような熱気に満ち、里山にイノベーションを仕掛ける挑戦を後押しするような場となっています。