「宮城県で撮影したものを全世界に配信したい」という思いで立ち上がった仙台に拠点を構えるネットテレビ局が「アリティーヴィー」です。
仙台を拠点にしながらも、東北一帯で、映像を使って発信を行っています。
自社の配信の他に、企業や行政の映像製作や、タイアップ企画など、多様なかたちで映像を配信し、その姿は、地域を支える縁の下の力持ち。
ただのネットテレビ局の枠に収まらない秘密を、代表を務める佐藤貴之さんに伺いました。
自分たちのあり方に目覚めたのは東日本大震災
変化のきっかけになったのは、東日本大震災です。
大変な状況にあったのですが、自分たちもカメラを持っているということで取材にいきました。
この現場を報道する意味があるのかなと何度も思ってたんです。
でも、カメラを持って現場に行くと、「何かの取材に来たのかな」と住民の方は考えてくれて。
「実はこういう状況で、これこれに困っていて」という話をされるんです。
そこで、取材が入っていない小さなか隙間がいっぱいあるんだと気付いたんです。
僕らの役割はそこなんじゃないか。
小さい声でも届けていくのが役割じゃないのかと思って、色々なところに行ったり、大学の先生に現状について聞きに行ったりしました。
この時は、自分たちができることをするしかないという状況で、みんな使命感に燃えてやっていました。
この経験で、一度しかない人生、思い切りやっていこうと決めました。
ネットテレビ局が大切にしているただ1つのことは、「勝手にやる」精神
今大切にしている僕らのあり方は、震災があって、自分たちができることを全力でやって、それが次の仕事に繋がってという経験をしたことが大きかったですね。
それが大切にしている、「勝手にやる」ということです。
頼まれなくても動きます。
民放では、スポンサーがいて縛りがある中で番組作りを行っていました。
こうやれば良いのに、というのができなかった分、ネットは自由だから、「やりたい」という思いがあったら、どんどんやってしまいたいと考えています。
震災の時も、ずっと持ち出して使命感だけでやっていたら、4ヶ月後くらいにそれが仕事に変わっていきました。
例えば、ニュースではマイナスしか流れないから、だからこそポジティブなことを流そうとして、震災から立ち上がる東北を発信することを始めました。
復興って、建物が立て直されることだけじゃなくて、人が来ることだと考えて、観光に向けての情報発信も始めました。
それをまた評価してくれる人が現れて、仕事に変わっていく。
そんな実感があります。
だからこそ、ちょっとでも余力ができると、やっちゃおうと続けています。
その先に、自分たちが描いた流れになるはずだという気持ちがあるんです。
情報発信して終わりではありません
思いを伝えるというところで、力になっていきたいと考えています。
動画の力で、地域の魅力を発掘して、伝えていきたいですね。
「発信して終わり」ではなくて、売れる状況を作る、地域が稼げる状況を後押ししていかないといけないと思っています。
地域が盛り上がらないと、僕らも儲からないですからね。
主体的に動いて、自分たちの場所を、自分たちで作っていきたいと思っています。