毎年様々な趣向を凝らした年賀状が発売される日本。近年ではピーク時に比べて年賀状の送付は減っていますが、年賀状の歴史には様々な人の思いがありました。
世界初から4年後! 日本の郵便はがき
世界で初めて郵便ハガキが始まったのは1869年、オーストラリア・ハンガリー帝国。
それに遅れること4年、日本でも日本初の郵便ハガキが発行されました。ヨーロッパを手本とした郵便事業の創業から2年後には郵便ハガキの発行が始まっています。
このハガキ発行の裏には、イギリスの郵政事情を視察した前島密の、ヨーロッパで人気の「ポストカード」が日本でも定着するという読みがありました。
日本で初めて発行されたハガキは、縦に2つに折られた形のもの。低額のかわりに他人に見られる可能性があるという注意書きも印刷されています。
その4年後には、現在のハガキの形態である、折り目なしのハガキが発行されるようになりました。
世間に定着した年賀状! 国民の思いが制度をつくる
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日本初のはがき発行から約15年後までには、はがきの普及も後押しをし、年賀状で新年の挨拶をしたいという人が増え、ついに年賀状を出すことは国民の年中行事のひとつとなりました。
年賀状の数は膨大となり、郵便局では遅延などの問題も。これにより、年賀状を「別枠」として処理する制度が始まります。
12月15日は “年賀はがき特別取り扱い開始日” とされ、この日から25日までに投函された年賀はがきは1月1日の元旦に配達されることとなっています。
参照元:日本の記念日
元旦に年賀状が届くことは安寧の象徴
1935年には初めて年賀切手の発行もあり、7億通を超えてピークを迎えた年賀状ですが、過去には特別取扱が休止されたことがあります。
1923年の関東大震災の翌年の年賀状、1926年の大正天皇崩御直後の年賀状、そして戦争時です。
1940年には当面の間として年賀状の特別取扱がなされ、翌年の太平洋戦争突入以降は通信相から年賀状自粛のポスターも発行されました。
年賀状復活のきっかけ!? 一般庶民が考えた「お年玉つき年賀はがき」
年賀状の特別取扱が再開したのは戦後の1948年。その翌年には現在ではお馴染みの「お年玉つき年賀はがき」の制度が始まりました。
この制度のきっかけとなったのは、一市民のアイディア。
年賀状が戦前のように復活することを願い、京都在住の林正治氏が “年賀状に賞品の当たるくじをつける” などを思いつき、自ら見本やポスターを作成して郵政省へと持ち込みました。
発売当初から大きな話題となったお年玉つきの年賀はがき。1955年には年賀状数は戦前のピークを超え、同じ年には沖縄県でも年賀はがきが発行されました。
参照元:年賀状博物館
東京にある郵政博物館では、これら年賀状の歴史を物語る資料が展示されている「郵政博物館の歴史」が来年1月11日まで開催されています。
郵政博物館
東京都墨田区押上1-1-2東京スカイツリータウン・ソラマチ9F