地方移住へのきっかけとして、「希望する仕事の募集があったから」という回答が20.5%で最も多いというデータがあります。
実際に首都圏在住者の約4割が地方移住を検討しながらも実行できない理由として、希望する仕事がない・見つからないということも指摘されています。
「仕事はある」けど、希望する仕事はない?
ここで注意が必要なのは、地方にも「仕事はある」ということです。2017年の11月には、有効求人倍率は1.56倍と発表されており、この値は、1974年1月の1.64倍以来、43年10カ月ぶりの高水準としても話題になりました。
ではなぜ、仕事がない・見つからないということになるかといえば、正しくは「希望する仕事がない・見つからない」からだというのが、リアルだといえるでしょう。
地方での仕事は、どのように探して行くのが良いのでしょうか。
希望する仕事を見つける3つの方法
地方での仕事探しで、自分の希望仕事がある場合は、ある程度時間がかかることを見越した方が良いかもしれません。というのも、都市圏の就職や転職のように、大手求人サイトに情報が網羅されているかといえば、全くそんなことはないからです。
背景には、載せても人が来ないとか、そもそも掲載料が高いなど、いろいろな理由がありますが、都市圏と同じような仕事探しはできないという前提のもとで進めた方が良いでしょう。
1. ハローワークの求人をチェック
まずチェックしたいのは、ハローワークでの求人です。地方移住したいという方にとっても、活かしたい自分のキャリア等と、実際の募集の様子の全体像がつかめて、相談にものってもらうことができるでしょう。
都市圏在住者のイメージだと、良い求人はなさそうなイメージもあるかもしれないですが、地方の中小企業等で、そもそも求人をどのように出せば良いかわからないという状況で、とりあえずハローワークというところもあるため、まずはチェックしてみると良いでしょう。
2. 行政に相談。宮崎県などは人材バンクの整備も
移住希望者であれば、行政の窓口に相談することも有効です。いつかは移住ということであれば、少し気長になりますが、自治体が準備している人材マッチングサイトに登録しておくというのも手です。
例えば、宮崎県が提供している「ふるさと宮崎人材バンク」は、希望する条件で登録しておくと、合致した求人が行われた場合にお知らせが届くというシステムです。
UIJターン促進のための取り組みのひとつで、仕事を探すだけでも、他の求人サイトに載っていない情報に出会ったりもします。
このような行政の窓口は信頼度も高いため、登録して様子見というのもありかもしれません。
3. 地元密着の人材採用の会社を頼る
地元の企業と太いつながりをもつ、人材採用支援の会社に頼るのも有効な手段でしょう。
宮崎県のA社は、人材育成や採用支援を行なっており、企業の求人情報を掲載する独自サイトをもっています。実際に、社長やスタッフ等に取材を行い、どんな職場なのか、どのような仕事なのかを伝える工夫を行なっています。
ある移住者は、自分のプログラミングのスキルが活かせる仕事を探していましたが、なかなか求人にはあるが、職場の雰囲気が分からないという中で躊躇していたところ、この会社が間に入り、場をセッティング。企業訪問等を経て、就職を決めるということになりました。
地元密着の企業は、独自のネットワークで、また会社の役員等とのつながりもあり、ユニークな求人を掲載していることもあります。仕事を探す前に、その地域での有力な人材を扱う会社を見つけるというのも、有効なステップの一つでしょう。
知られていない有力企業を見つけられるかどうかも
3つの方法以外にも、求人はしていないけれど、地域の有力企業を見つけ、アプローチするという方法もあります。
実は地方には、業界シェアで多くの部分を持っていたり、その会社しかないテクノロジーを有しているような企業があります。
Uターン希望者のBさんは、山形県の新進気鋭のベンチャー企業が、世界にもそこだけの商品をもっていることに惹かれ、そこで働きたいという熱いメッセージをメール。その後、面接につながり、就職するということにつながりました。
このように、求人を行なっていなくても、一緒に働こうとなれば、そのポストを準備するという企業は少なくないようです。
スキルや経験が仕事になってしまうことも
中には、こんなケースもあります。
もともとライター兼デザイナーとして東京で活躍していたCさんは、Iターン移住にあたり、仕事探しをしていました。その過程で、ライターであることから仕事の依頼がきたことをきっかけに、ライティングはもちろん、デザインの仕事も受注。その結果、独立してやっていけるまでになりました。
地方にはデザイナーなど、クリエイティブな職は少ないといわれていますが、それは求人が少ないだけで、ニーズは非常に高いものがあるのが現状です。
だからこそ、自分のスキルを示すことができれば、仕事につながっていくといえるでしょう。
発信がうまくできていないという前提で、仕事を探してみるという提案
さて、以上のように、希望する仕事を見つけることを考えてきましたが、ひとつの提案を行いたいと思います。
それは、地方は情報発信ができていないと言われるように、仕事に関しても、情報発信ができていないという前提にたってみてはどうかということです。
「地域の魅力があるのに発信できていない」ことと、「仕事があるのに、発信できていない」は、同じことだといえるからです。
だからこそ、眠っている仕事はないか、求められている仕事はないかという点で、求職者の方も行動する必要があるのではないでしょうか。
地方で希望する仕事を見つけるためには、選ぶという姿勢よりも、探して見つける、そして作るという姿勢が有効だといえます。