毎年12月に高知県北川村のゆず農家を訪れます。
北川村は高知市内から車で東に2時間以上、山道を進んだところにある山間の村です。
北川村の松﨑さんは、ユズ栽培の第一人者です。
北川村で本格的にゆずの栽培が始まった昭和40年ごろに先駆け、昭和36年から栽培を開始し、ゆずの文献がない中、一から研究を始め試行錯誤のすえに、村は日本一の産地となりました。
今では2~3ヘクタールのゆず畑をもち、高知県内一の生産量を誇ります。
ゆずの栽培は北川村から近隣へ広がったといえます。
村には、樹齢100年を超える古木のゆずが点在し、「実生」といわれる種から育てられたゆずの木が多くみられます。
接木のゆずに比べ、香りが強く味も深みがあるのが特徴だそうです。
土地は水はけがよく、朝晩の気温差が大きいため、きれいな玉になります。
きれいな大玉は観賞用やお菓子用として出荷されるそうです。
美味しいゆずを作るには土作りが大事だと言います。
前の年に穫れたゆずの木と果皮を半年かけて発酵させ堆肥として使用することで土の環境が良く保たれ、虫もつきにくく、きれいなゆずができるそうです。
土作りは毎年の積み重ねによって形成されるので前年の剪伐も大切な作業となります。
私もゆずを穫らせてもらいました。
ゆずの木は鋭いとげがあって、慣れないとなかなか危険な作業です。
山を越えた隣の村は馬路村です。
ごっくん馬路村という飲み物や、ゆずの村というポン酢は全国にも流通して有名です。
ゆずの果皮は捨てられています。
ゆずは見た目がきれいなもの以外は、大半がポン酢か飲料などの原料となるため、絞った後の果皮が廃棄物として捨てられているそうです。
産業廃棄物として捨てるのにはもちろんコストもかかり、農家さんにとって負担がとても大きくなります。
そこでゆずの果皮に含まれる油分を抽出して、化粧品などの原料に使おうという動きがあります。
高知の西、四万十市にある「エコロギー四万十」。
四万十川流域、高知県、四国地域の生活向上と、地域産業に貢献したいという主旨で設立された市民出資による企業です。
上質の精油を効率的に抽出する「超音波印加型減圧水蒸気蒸留法」により、ゆず精油が抽出されます。
蒸留後の残渣は堆肥化が容易で、資源を無駄なく利用することが出来ます。
「超音波印加型減圧水蒸気蒸留法」は、地球環境に優しい資源循環型の新しい精油抽出法なのだそうです。