伝統芸能というとおかたいイメージ。
サイドかりあげの髪型、オシャレな黒縁めがね。
そんなイマドキ男子で伝統芸能のイメージをくつがえす笛方、杉信太朗さん。
「笛方」とは能楽の囃子方(はやしかた)のうち笛を吹奏する役。
京都で代々この笛方の伝統を継ぎ、今は東京と京都を拠点に全国で活躍する
1986年生まれの若きホープ、杉信太朗さんにインタビューしました。
“芸の世界のみえないゴール”を追求する
月曜はピアノ、火曜はお習字と柔道、水曜は能や鼓や謡、木曜は柔道、土曜は塾、日曜は舞台鑑賞…、と幼少の頃は毎日お稽古していました。
柔道は体作りのため。笛は体力も大事なんです。
それに笛以外にも鼓や謡をいろいろ習い、歌舞伎などの鑑賞もたくさん観た結果、小さい頃は笛よりも踊る方になりたかったんです。だから今でも歌舞伎や歌手のコンサートなども観にいくのは好きですよ。
でもやっぱり笛方になったのは「笛が好きだから」に尽きます。
笛は能の舞台では楽器の中で唯一メロディを奏でるもの。
悲しい場面では悲しい音色を、呪いの場面では呪いの音色を出し、謡を盛り上げ演目の流れを助けます。
お客様がその場面をわかるような“心情を表わす音色”を出すのは非常に難しくて、舞台のたびに新しい発見や課題があって本当に奥深いなぁと思います。今はこの“芸の世界のみえないゴール”を追求するのがとても楽しいです。
学校で、伝統芸能の笛の授業が無い。
日本人でありながら日本の伝統芸能の笛や鼓などの楽器を嗜んでいる人って少ないんですよね。みんなピアノだったりギターだったり。
その理由として学校でリコーダーの授業はあっても、日本の伝統芸能の笛の授業はなかったり、そもそも伝統芸能の楽器にふれる機会が少ないんですよね。
もちろん笛においても同様で、「笛の演奏」ときいてもピンとくる人がまだまだ少ないのが事実。
この悲しい状況を打破し、笛の伝統芸能についてより広く知ってもらうために、藤田貴寛(ふじたたかひろ)さんという流派の違う笛方の方と、「双奏會(そうそうかい)」というユニットを結成しています。
同じ曲でも流派や吹く人が違えば音色は異なるので、とても面白いアンサンブルを聴いてもらえると思います。
すでに区立美術館でコンサート+トークショーのようなイベントも開催しており、反響もよかったんですよ。
囃子方というのは目立つことが少ないんですが、能楽を観にいったときには、ぜひ笛や鼓などの囃子方にも注目いただきたいです。
そしてそれぞれの場面で、表現しようとしている心情を笛からも感じとってください。
ぼくのような20代の方にもぜひ気軽に観にきてもらいたいです!
杉信太朗さんの情報は、こちらから東京と京都で月2回ほど開催。日時や場所などは下記メールアドレスまでお問い合わせください。
またその他の地域でも教えに参りますのでお気軽にご相談ください。
■お問い合わせメールアドレス
shintaro19860408 アットマーク gmail. com
杉信太朗まで