ドイツのケルンに学ぶ地域づくりーまちの「得意技」を活用する

古くから多くの放送局等のメディア産業が拠点を置くのが、ケルンのもう一つの顔。1997年から、ケルン市中心部にあった貨物駅跡地を再開発して建設された「MediaPark Köln Entwicklungsgesellschaft mbH」。オフィス、ホテル、カンファレンスルーム、住居、アミューズメント施設等を集合した複合的再開発プロジェクトですが、あくまでも「人」を中心としたまちづくり進めています。

企業が集まることの効果



ケルンはメディア都市としても重要な役割を果たしています。公共放送局の「西部ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk = WDR)」、民放の「エール・テー・エル(RTL)」をはじめとする10局をテレビ・ラジオ局や約400の番組制作会社が本拠を構えています。 元々メディア産業が集中していたことに加え、高速道路や公共輸送ネットワークへ簡単に接続できる立地等の魅力的な点が多かったことから、メディア団地構想が描かれ、完成したのが「メディアパーク(Media-Park)」です。


この結果、中小を含め多くのメディア関連企業がMedia-Parkに集合することなりました。テレビ・ラジオ製作、音楽、IT・ソフトウェア開発、広告代理店、この他にもメディア専門の弁護士や著作権協会等までが集結しています。これらメディアに係わる企業が集約されることは、作業効率や費用等の点で相乗的効果を生み出しているのは言うまでもありません。互いのコミュニケーションを増やすことで、顔の見える関係をつくることが、信頼関係を生み、優良なコンテンツの制作、新しいアイディアの創出につながります。人のつながりを生むのもこうしたまちづくりの効果といえます。

得意技」を有効につかうMedia-Park



Media-Parkには、メディア関連企業が集合することによって生じる「得意技」を活かした取組が盛んなのが特徴です。まず一つが人材育成。将来メディア関係への就業を目指す若者たちを対象とした、ジャーナリスト養成学校、ITやプログラミング等の多くのトレーニング機関や教育施設が設置されています。講師となる専門家がたくさん近くにいるし、実際の現場にも触れる機会に恵まれた環境は、人材育成には最高のロケーションであるといえます。もうひとつ、面白い得意技を活かした取組は、「MediaPark Klinik」という、医療機関を集約したビルの存在。これは、高速データ網のインフラが充実している点に着目して、それを利用した最高水準の医療を提供しています。このように、本来のメディア関連企業の集合体とは直接的ではないですが、その得意技を活かしたものを提供することによって、無機質になりがちな企業団地構想に彩りを与えているのです。

まちづくりの目標は人が喜ぶこと



このようにみていくと、企業の集合体としてのMedia-Parkですが、その方向性は「人」に向けられていることがわかります。近年オフィス、住居、商業施設を中心とした複合型商業施設が各地に建設されていますが、大きな特徴があるといったものも少なく、その目的の「集客」「収益」というものに向けられるものが多いのではないでしょうか。
こうしたなか、人材を育てたり、得意技を活かした最高水準の医療を提供する、といったサービスを提供するMedia-Parkは、人が喜ぶ、人に焦点を当てることによって、特徴ある有機的な街としとして機能するのです。
【参考】
 「人」に焦点を当てたまちづくりの参考として、医療と教育に特化したまちづくりを推進している都市を紹介しておきます。
 ▼兵庫県神戸市(医療産業都市構想)
  
 ▼富山県船橋村(図書館による街づくり)

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