• HOME
  • MACHI LOG
  • 熊本県
  • 移住者が人の交流を生む。「どこに住むか」ではなく「何をするか」で選んだ移住先

移住者が人の交流を生む。「どこに住むか」ではなく「何をするか」で選んだ移住先

ホリデーパーク風来望を営む生田さん夫妻

「天草でバックパッカー向けの宿をしている移住者がいる」との話を聞いて、熊本県天草市にある「ホリデーパーク風来望」の生田さん夫妻をたずねた。天草に家族で移住するまでには夫婦の危機もあったという。生田さん夫妻にお話をうかがった。

宿泊客同士の交流が生まれるゲストハウスを作りたい

ホリデーパーク風来望があるのは天草・西海岸。熊本市内から車で2時間半、距離にして120kmほどのこの場所は雲仙天草国立公園に指定されており、手付かずの豊かな自然に囲まれている。目の前に東シナ海が広がり、季節や時間ごとに美しい表情を見せる「奥天草」で生田さん夫妻の営む宿は、カヤックやシュノーケリング、ダイビングなどマリンスポーツを楽しみたい人や家族連れにも人気だ。

夫の生田達三さん(46)は神戸出身。もともと神戸でサラリーマンをしていたが、ヨットが好きな達三さんはマリンスポーツが盛んなニュージーランドに渡る。ニュージーランドでバックパッカー向けの宿の存在を知り、働くうちに帰国したらゲストハウスを営みたいと考えるようになった。

釣りやマリンスポーツが好きな達三さんにとって、海に近いことは移住の絶対条件。さらにニュージーランドの宿のように、宿泊客同士の交流が生まれる宿を目指したいと考えていた。しかし、海に囲まれている日本にあっても生田さんの目指すゲストハウスに適した場所はすぐには見つからない。

「どんな家族でありたいか」で決めた移住

共有スペースで宿泊者同士の交流が生まれる

生田さんの場合、いきなり家族全員で移住したわけではない。2009年2月にまずは単身で天草にやって来た。なんのツテもなく、どう地元の人と関わっていけばよいか分からない状態で、妻と子を連れて動くのは無謀だと思ったからだ。そこで、地元の水産会社に勤めつつ物件探しをすることにした。そして、妻と一人娘を呼び寄せる2013年まで4年近くの期間は一人で生活をしていた。

一方、妻の雅子さん(43)は神戸で会社勤めをしていた。夫婦二人だけならなんとかなるかもしれないが、子どもがいて新しい土地での生活は難しいだろうと思っていた。自分と娘を残して好きなことに生きようとする夫に対しては「子どもがいても自分の人生を優先する生き方が理解できなかった」という。

それでも天草に行くことになったのは、雅子さんの体調不良がきっかけだった。働きすぎて娘との時間も満足にとることができない状態。そんな中、達三さんのブログを見ると、天草での生活を楽しんでいる様子が伝わってきた。家族なのにこのままずっと離れていていいのか。幸い田舎での生活は嫌いではなかった雅子さん。やがて天草に行くことを決めた。

信頼を獲るために、まずは自ら地域に溶け込む

風来望の最大の魅力はそのロケーションにある。しかし、この場所を借りられるまでには数年かかった。地場の企業に勤めながら、地域の行事に参加して少しずつ地元の人たちとの距離を縮めていったことが効いているという。人口減少に悩む地方は一人でも多くの人に移住してもらいたい。けれども、誰でもいいわけではないというのが本音だ。

やっぱり地域に溶け込むのは大切ですね。それがなかったらこの場所も借りられなかった。地元の人の協力のおかげです。それから、移住を考えている人の中には田舎は生活コストが安いからのんびり働いていけばいいと思っている人もいるかもしれません。でも、実際のところ生活していくのは簡単じゃない。会社勤めをしながらこれまでと同じ生活水準を維持するのは、給料が安い田舎では難しいでしょう。土日祝日関係なく働くことをいとわない働き者じゃないと。もっといえば会社勤めではなく何かをしたいという人じゃないと、大変だと思います。

風来望の書き入れ時は夏。夏場だけで一年分稼ぐ。生田家の場合、忙しい時期にあっても朝食と夕食は家族そろって食べるようにすることでコミュニケーションの時間を確保している。オフシーズンは家族旅行にも行く。その結果、神戸にいたときよりも家族の時間は増えた。

移住者特有の弱みを強みに変える

移住者が生活するには、地元にツテがないことはネックとなる。しかし、移住者だからこその強みもある。その1つは生田さん夫妻の場合は神戸と静岡にそれぞれ実家があることだ。年に数回の帰省を通じて、普段とは違った環境を経験できる。また、将来娘が希望したときに進学することも他地域に拠点のない地元の人よりハードルは低いだろう。

この地域も高齢化が進んでいて若い人はほとんどいません。でも、娘が大人になるまでずっとここにとどまっていて欲しいとは思いません。逆に、帰ってこなくていいよとも思わないですね。一度は外を見てもらいたいとは思うものの、そのときにどのような選択をするのかは彼女次第です。私達はさまざまな選択肢を持っておくことが大切だと考えています。

県内外の人の交流を生み出す拠点づくりを目指す

生田さんは年をとっても続けられる仕事をしたいのだという。昨年からは県外からの手伝いに若い人も来ている。将来はそうした人を雇い入れて、事業拡大も視野に入れたいと話す。

風来望を足がかりに、この地に来る人を増やして地域の刺激になればと思います。

移住者が、地域間の人の交流を生み出すきっかけを創り出していく。

【募集中】茨城県北ローカルベンチャーラボ2019ー地域おこし協力隊の制度を活用した起業支援




関連記事一覧