地域を元気にする存在として、地方に求められる起業家人財。
しかし、単に起業家が生まれれば良いというわけではない。起業家として、経営者として、リーダーとして、持続的に成長しながら、地域や社会の課題解決にチャレンジし続ける人財が必要だ。
「志ある起業家が学び成長する」をミッションとして掲げる東北の起業家コミュニティ EO Tohoku が、東証一部に上場されている株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO 池田 良介氏を講師にお招きし、特別講演会を開催した。
起業家に必要な姿勢と考え方
池田氏は、「事業を起こす」という起業への思いから1997年株式会社ビックエイドの立ち上げに参画。2000年に株式会社セントメディアとの統合により代表取締役に就任された。
以降、人材サービスを中軸に成長し、2006年親会社である株式会社ウィルホールディングス(現、株式会社ウィルグループ)を設立し、代表取締役社長に就任。2016年6月から現職に就かれている。
企業における「Mission・Vision・Value」の重要性や考え方、成長ステージに応じた人事体制や人材開発・組織開発、組織のトップであるリーダーとしての姿勢など、池田氏の経験に基づく具体的なお話から多くの学びと気付きを得られる貴重な機会となった。
地域や社会をより良いものにするために、これから地域でビジネスを始める人たち、地域から外へビジネスを拡大したいと考えている人たちへ、その学びと気付きの一部をシェアしたい。
起業家にとって大切な3要素
ビジネスを行う上で大切とされる「Mission・Vision・Value」について、池田氏はこれまでの時系列に沿った経験から、その重要性について伝えてくれた。
Mission(ミッション・存在意義)というものが最も重要であり、その上で未来の姿であるVision(ビジョン・5~10年後の姿)を描く。そして、それに必要な戦略・戦術・計画・管理・業務へと落とし込んでいくことが求められる。
そこで、全てを通して突き刺すValue(大切にしている考え)という軸をしっかり持つことで、ビジネスも起業家自身も成長することができる。
動きながらでも固めていく
「Mission・Vision・Value」の重要については、起業家を目指す者なら認識はしているはずだ。しかし、この3要素を本当に突き詰めて明確にし、社内、社外、さらには社会に浸透できている人は少ないだろう。
池田氏は、自身の経験から、ビジネスを動かしながら段階的に固めていくこともできると伝えてくれた。
まずは、Value(大切にしている考え)を決め、Mission(ミッション・存在意義)を明確にし、Vision(ビジョン・5~10年後の姿)を描いていくことで、起業家自身、社員、そして社会へそれが伝播し、成長に繋がると教えてくれた。
トップ自ら染まり、旗を振れ
そのためには、トップであるリーダー・起業家自身が、自ら決めた「Mission・Vision・Value」に染まる必要がある。そして、トップ自ら旗を振って牽引していくことが求められる。
池田氏は、企業の成長における人事戦略の重要性を講義の中で伝えてくれたが、まずは、トップ自ら染まり、旗を振れるかどうかだ。それができなければ、どんな戦略で、どんな戦術で、どんな計画を実現しようとも、本質的な成長には繋がらない。
逆に、この「Mission・Vision・Value」という3要素を起業家自身が本当に考え抜き、突き詰めることが、起業家自身の成長に繋がる。その起業家の成長こそが、ビジネスを成長させ、社会をより良くすることに繋がるのだ。