ローカルベンチャーなど、地域資源を活用した持続可能なビジネスを創出する動きが全国で活性化してきている。このローカルベンチャーのさきがけとして西粟倉村の森の学校(株式会社森の学校ホールディングス)が有名で、2014年のデータでは、2億円以上の売上をあげている。
僕自身も「ビジネスで地域課題を解決する」を使命に掲げて、日南市の飫肥杉世界展開プロジェクトからはじまり、「限界集落のおばあちゃんのカフェ」や「人口80人の離島の特産品ブランディング」、宮崎県新富町の町経営や茨城県北のソーシャルビジネスのプロデュースまで幅広くローカルベンチャーの創出に携ってきた。
ローカルベンチャーのし掛け人として紹介されたりもするが、実際に頑張っている人は、地域の人で、裏側にはたくさんの「汗をかく人」がいる
その一人を今回は紹介したい。
文字通り汗をよくかく男、香月稔。
今回紹介したいのは、世界的に有名なコンサルティング会社につとめる香月稔さん。最近まで本当に公認会計士なのか疑っていたが本当に資格をもっているようだ。
香月さんとの出会いは、6年前。商工会議所の方に紹介していただいた。いまでも、その時の事を鮮明に覚えている。
待ち合わせをしていたカフェが閉まっていて、時間もあまりなかったので、商店街のベンチで打ち合わせをした。香月さんはスーツ。僕は短パン。
香月さんは、場所や身なりなど気にせず、もってきたA4プレゼン資料で、必死に会社紹介をする。汗をかきながら。
ローカルベンチャー本気で応援します
まだあって数分なのに、全力でぶつかってくる。第一声目は、「潤一さん、俺本気の人には、本気でぶつかっていきますから!」香月さんが勤めているのは、いわば大企業、しかも、香月さんは若くして早い昇進をしているらしい(最近知った)
その後も、特にガッツリ仕事はしてないのだが、ベンチャー界隈のイベントで、いろんな場面で出くわす。香月さんは司会をしたりパネラーをしたり、いまでは、僕から講演の依頼をしたりしている。もちろんいつでも汗をかいている。
当時は、なんでこの人は、こんなに情熱が溢れているんだろう?と思っていた。
「国力をあげたい」という強い思い。
香月さんは、酔っ払うと「国力をあげたい」といいはじめる。
普段は、大企業の会計をみているなかで、年商わずか数百万のローカルベンチャーの人たちとも、わけへだてなく付き合い、本気で国をよくしたいと思い行動している姿は本当に尊敬できる。
国力をあげたいという想いは、地元佐賀に起因する。佐賀で生まれ、佐賀を愛し、今でも職場の福岡まで佐賀から通っている。
愛する佐賀県の人たちが、自分の生まれ育った町に誇りとプライドをもてるようになってほしい、そのためにもローカルベンチャーを育て、国力をあげることに貢献したいという。
一人の熱い想いが、コミュニティ、共同体になる
彼の国力をあげたいという思いは、一つのウネリになってきている。
そして、彼のまわりは笑顔で満ち溢れている。香月さんと付き合っていると、彼が多くの人に愛されていることがわかる。それは彼が多くの人を愛しているからだろう。どんな状況でも、まず笑顔だ。
熱い香月さんのまわりには、さらに熱い人たちが集まって、増幅している気がする。
それは、一つのコミュニティになりつつある。香月さんが運営に携わっている、九州山口ベンチャーマーケットは、まるで共同体だ。(九州・山口各県と経済界が一体となり「世界に翔ばたくベンチャー企業」を輩出するためのイベント)
この画像にも、香月さんはでてこないが、九州中をまわり、汗をかき、本気で国力を上げるベンチャーを探し回っている。
水があるところに文化は栄える。
汗という漢字は、「水」を象徴するさんずいへんに、乾きをあらわす「干」で成り立っている。古くから文明は、水があるところに栄えると言われている。
香月ファミリーというと安っぽいが、香月さんの汗からほとばしる熱量をうけとった、ローカルベンチャーの担い手は、増えてきていると思う。今度は、その受け取り手たちが汗をかいて、地域をよりよくしていってくれるといい。
僕自身、ローカルベンチャーとか「ビジネスで地域課題を解決する」とか言葉なくなってしまえばいいなぁと思う。それが当たり前になって、生きている人が自分の住んでいる地域に愛と誇りをもって暮らせるよのなかになるといい。
その時、きっと香月さんの、汗は、嬉し涙に変わるんだろう