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都市住民の3割は田舎暮らしに興味あり。人とのふれあいが鍵?

都市住民の3割は田舎暮らしに興味あり。人とのふれあいが鍵?

    CATEGORY: AREA:東京都

「地方移住」とざっくりいうと、人口数十万人の地方都市から、里山の田舎まで、まるごと対象になってしまいます。

いわゆる「日本の田舎」といった時にイメージする、農業や漁業や林業などの第一次産業が主力となっていて、村的な生活をする暮らしへの関心はどのようになっているのでしょうか。

実情を知るのに、国が平成26年に実施した「農山漁村への定住等に関する意識調査」が参考にできます。ここから読み取れるのは、田舎暮らしへの関心が高まっているということです。

農山村漁村への定住についての調査でわかったこと

この調査は20歳以上の男女に対して行われました。まずポイントは、都市地域に居住している対象者が、「農山漁村地域に定住してみたいという願望があるか」という質問に、「ある」と31.6%の人が回答していることでしょう。

けっこう高い数字ですよね。地方への移住ではなく、農山漁村地域になっているところがポイントで、いま都市に住んでいる3割もの人が、都市とまったく逆ともいえる田舎暮らしを希望していることがわかります。

5割以上が、地域の人達との交流を望む

田舎暮らしを希望する方々が何をしたいと思っているかというと、「地域の人たちとの交流・ふれあい」です。

なんと53%と、半数以上の方が、交流・ふれあいを希望しているました。

続いて、「自然観察」が45.6%、「地域貢献」が37.0%と続きます。自然観察はおなじみとしても、地域貢献が3割以上にのぼる部分も注目でしょう。

この背景を想像してみると、都市生活の辛い面が浮かび上がってきませんか。

例えば、毎日家と職場の往復だけで疲弊するとか、コミュニティに参加できず孤独とか、そもそもコミュニティがないとか、そういうもろもろもの不満とか疲弊とかが、田舎生活へのあこがれの後ろにはありそうです。

人との交流って、エネルギーを使うということを多くの人が経験的に知っていると思うのですが、それを敢えて求めるという部分に、反動となっている部分も大きそうだと想像します。

農林漁業を仕事としたい層も3割いる

農山漁村地域の希望になるような結果もでています。それは、農林漁業を仕事として暮らしたいという層が34.8%いるということです。

いま全国で第一次産業は担い手不足、後継者不足で持続できるかどうかの瀬戸際にたっており、どのように持続可能な産業として地域に残すのかが、喫緊の課題となっていることは多くの人が認識を共有する部分でしょう。

であるなら、この田舎暮らしを希望し、かつ一次産業を仕事にしたいという人たちを、どう動かせるかが、持続可能な地域づくりにつながる、取り組むべきポイントといえそうです。

必要なのは適切なマッチング

当然ながら、田舎暮らしを希望する方々が、必ずしも移住したりするわけではありません。

ではどうするのかといえば、「あなたのやりたいことはここでできますよ」と伝えていく以外にありません。大前提は情報発信により、知られることですが、同時に、田舎暮らし希望者のニーズを満たしていく必要もあるでしょう。

勘違いしてはいけないのは、今のままで良いというわけではなく、暮らしやすい環境づくりを行わなければ、そもそも選ばれないということです。

例えば、移住者でも使いやすい地域内の交通手段の提供とか、医療施設の整備などです。

一次産業に従事したいという方に関しても、今までのように個人対個人で接するのではなく、例えば地域で農業法人をつくりそこに雇用するとか、移住者の努力だけに任せない対策をとるべきでしょう。

農山漁村での暮らしも注目されつつある

実は、平成17年に実施された同調査よりも、農山漁村地域への定住願望の有無は、20.6%から31.6%と多く高まっています。

この背景のひとつには、地方創生の名で、様々に行われている情報発信や、都内でのイベントの開催などが、良い影響を与えているといえるでしょう。

このまま関心が高まっていけば、実際に行動につながる数も増えるといえ、継続的な取り組みが大事だといえます。

まずは知られることが重要

そして何と言っても大事なのは、まず知られることでしょう。地方移住とか、田舎暮らしとか、受け入れる方も、移住したいという方も、願望だけでは決してうまくいきません。

希望がすべて叶えられるということも、稀のはず。ではどうすれば良いかといえば、比較し、検討し、実際に訪れるということでしょう。

その際に、受け入れる地域側も、何もしないというわけではなく、何が求められているのかを考え、対応していくことが必要です。それは決して、お客様扱いをしようとかいうことではなくて、住みやすい地域をつくっていこうという話です。

自分たちが暮らす地域を自分たちでつくっていくということが、いま求められているのではないでしょうか。

参考文献:農山漁村に関する世論調査(農山漁村への定住等に関する意識調査)