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アートの地産地消へ。日常の中にアートを持ち込む『忍町アートギャラリー』開催への想い

アートの地産地消へ。日常の中にアートを持ち込む『忍町アートギャラリー』開催への想い

    CATEGORY: AREA:埼玉県

PR for 忍町アートギャラリー(埼玉県行田市)

埼玉県行田市の中心市街地で開催される、3年前に始まり、今回で11回目の開催となる、町をアート作品で彩る同イベント「忍町アートギャラリー」が開催されます。

このアートイベントは、地域の外部からアーティストを招き作品を製作したり展示したりする地域アート系のイベントとは一線を画します。

地元に暮らす人々が、町を彩るアートを製作します。

発起人であり、実行委員長を務めるのが、野本翔平さん。

行田市議会議員を務める傍ら、NPO法人CILひこうせんアートディレクターとしての活動を行います。

なぜ忍町アートギャラリーを開催するのか、その思いを聞きました。

地元に暮らす人々が「まち」を彩るアートイベント

中学生による作品

アートというと、どこか非日常な特別なものというイメージがありますが、野本さんはそういうあり方ではないアートを提案したいといいます。

僕たちはアートが『特別な、非日常なもの』として在るのではなく、毎日の生活の中に、ごくごく普通のものとして在るという状態を作ることを目的として、このイベントを開催しています。そのためには、様々な地域で行われている芸術祭のように、地域外から有名なアーティストを招いて作品を制作してもらい展覧会を行うのではなく、地元の人たちが、普段描いている絵とか、普段撮っている写真とかを『アート』として扱いたいと考えています。

実行委員会の様子。まちのみんなが集う

そのため、忍町アートギャラリーを賑わせるのは、地元の中学校の美術部生徒から公民館の絵画クラブで絵を描く高齢者の方まで様々なアーティストたちとなっています。

『アート』と『障がいのある人たちの表現』の間にある垣根を取り払う

障がい者の方による作品

障がい者アートに関しても、積極的な取り組みを行っているのが、このアートギャラリーです。

障がいのある人の芸術展は、様々な場所で『アール・ブリュット展』や『アウトサイダーアート展』のような展覧会として、数多く開催されています。

追い風となるように、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムにおいても、障がいのある人の芸術運動についてはきちんと枠があって、推進される動きも出てきました。

しかしまだまだ十分とはいえないと野本さんは指摘します。

様々な地域で行われている芸術祭や地域アートプロジェクトの中で、障がいのある人たちのアート作品がとても少ないのは、やっぱりまだ『アート』と『障がいのある人たちの表現』の間に壁があるからだと感じます。

『忍町アートギャラリー』に関しては、そこは積極的に混ぜてやっていきたいと考えています。

これまで「障がいのある人たち」は保護される存在であったかもしれないけれど、これからは「まちづくり」などに主体的に関わる能動的な存在となり、誰かに何かを与える役割を何ってほしいのです、と野本さんはいいます。

『アート』を通じて「多様性」に触れる 豊かな町へ

アートは見る人の感性を豊かにしてくれる、そういうものに触れられる環境が日常的にあることは幸せなことだと思います。

そんな環境を町につくろうというのが、この取り組みでもあります。

地域には色々な能力を持っている人たちがいて、色々な人が色々な形で関わってくれるおかげで、このイベントの多様性も広がり、内容も面白くなってきたと感じています。

行田市は地方の城下町で、どちらかというと保守的な風土のある土地だと感じていて、多様性はまだまだ低いと思います。

多様な価値観をいかに担保していくかが、『町の豊かさ』にも関わってくるし、まちづくりの大きな課題であると僕自身は考えます。その点で、『アート』は色々な人々の色々な表現に触れることができるものなので、多様性に触れる有効な手段のひとつであると思います。

このイベントを始めて3年が経ちますが、最低でも10年は続けないと地域に定着しないと思うので、これからも様々な人と関わりながら、この取り組みを続けていきます。

野本さんの想いは、まちを広く巻き込みながら、少しずつ大きくなっています。

第11回忍町アートギャラリー開催!

日時:平成29年11月10日(金)~11月15日(水)10:00~17:00(メイン会場)

場所:メイン会場 牧禎舎(行田市忍1-4-11)、及び商店街の店舗など

『忍町アートギャラリー』
埼玉県行田市の中心市街地といわれているエリアで開催されるアートイベント。商店街のお店に協力を仰ぎ、店内や店先の壁などにアート作品を展示することで、普段は閑散としている商店街を歩く人の流れを生み出そうという目的もある。

寄稿:加藤綾野(MACHI LOGライター)