「木地師」という言葉に馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
轆轤(ろくろ)を用いて椀や盆などの木工品を加工、製造する職人のことを言います。
木地師でも、扱う技法によって、丸物・角物(指物)・曲物木地師・刳物木地師と分かれます。
石川県の山中が代表産地として有名ですが、かつて木地師は全国各地に多く散在していました。
今は、その数も年々減少している状況なのです。
福井県鯖江市にある越前漆器の産地河和田地区も、木地師は全盛期100名近くいましたが、その数を大きく減らしています。
地域の「いいもの」をつくる人とその技がどんどん減っているのです。
ろくろ舎が誕生するまで
そんな河和田地区に2014年から工房を構え、木地師の仕事に取り組む若手の丸物木地師がろくろ舎代表 酒井さんです。
もともと河和田出身というわけではない酒井さん。
北海道出身で、東京のデザイン学校へと進学し、そこでのご縁から、河和田に移り住んだのが8‐9年前のことだと言います。
河和田に移って、木製品を扱う企業に就職し、その後紆余曲折あり、2年半ほど前の2014年4月にろくろ舎を立ち上げたのです。
酒井さんはこうおっしゃいます。
「木地師の仕事は、問屋からの仕事がほとんど。でもこれから先は、それだけでは先が見えない時代になる。
ありがたいことに僕の周りにはクリエィティブな仲間たちがたくさんいる。
彼らと協力しながら作るだけではなく、より背景を伝える面白い仕掛けをしていきたい。」
そんな木地師 酒井さんの思いを掘り下げていきます。