「福笑い」。最近は家庭でもめっきり見かけなくなりました。少なくとも、私は友人宅では見かけたことはありません。でも、今の親世代のみなさんは、お正月だったり学校だったりなにかの付録だったり、なにかしら遊んだことがあるのではないでしょうか?
笑う門には福来る
福笑いは江戸時代後期から遊ばれ始めたといわれています。「おかめ」「おたふく」といわれるお福面の輪郭がベースにあり、目隠しをしたプレイヤーがその上に眉・目・鼻・口などのパーツを置いていくだけの単純なゲームです。大きく崩れた表情になった場合はもちろん、微妙な位置や方向のずれが何とも言えないおかしみを醸し出すこの遊び。出来上がりは思わず笑ってしまうような、愛嬌のある顔になることも多いですよね。 起源や詳細はあまりわかっていませんが、笑顔を絶やさず、新年を笑顔で迎えようという昔の人の心が伝わってくるような遊びですね。
いまどきの「福笑い」
最近「あ、これ福笑いっぽい」と思ったのはコクヨの絵本シリーズ。特にこの「WORK&CREATEシリーズ」では、まさに「福笑い」という絵本がたくさんリリースされています。 顔の輪郭が描かれた全54ページに、目・鼻・口などの顔パーツシールが付録としてついているのが「かおノート」。 ちなみに私はテーマにあわせて思いきりありえないような動物を考える、「へんてこどうぶつ どんなどうぶつ?」がお気に入りです。 このように考えて面白い形を創りあげる遊びは、こどもたちのクリエイティビティを高め、個性を尊重することにつながるのかもしれません。
昔の福笑いのよさ
とはいえ、実は私は昔ながらの福笑いのほうが好きだったりします。それはあくまで「偶発的」なもので、一瞬で形がなくなるものだから。どんなに面白い顔ができても、大笑いして、そのあとは次の人にバトンタッチしたり、片づけたり。一瞬の妙というところと、考えてできる面白さではなく、あくまで偶然にできる面白さ。その素朴さと、そこから生まれる驚きは、今のものとはまた少し違うのではないでしょうか。
自分で作る福笑い
今のこどもたちはメディアに接することも多く、一般的な「おかめさん」「お多福」のお面では満足できないかもしれません。だったら…自分たちで作ってみるのはいかがでしょう?こんなふうに手書きで輪郭とパーツを作りはさみでじょきじょき。もちろんパーツはお子さんにも描いてもらうほうが面白いと思います。
お金をかけずに、親子でくすくす笑いながら楽しめる遊び。この連休、お出かけ予定のない方は、ぜひご家族やご友人と遊んでみてください。古臭いと思うかもしれませんが、意外にそれぞれの美意識やこだわりがわかり、楽しい時間になると思います!工夫次第でいろいろ遊べると思います。パーツをつくってじょきじょきはさみで切るのもまた楽しいもの。
いろんな楽しみをもつこの「福笑い」。これからも日本人にとっての大切な遊びのひとつとして、次の世代に受け継いでいくことができればと思います。