和歌山県にある橘本 (きつもと) 神社は「お菓子の神様」として信仰を集める神社。神社に伝わるエピソードをまとめてみました。
木の実に10年を捧げた「田道間守」
田道間守「前賢故実」
橘本神社に祀られているのは田道間守神。
伝説では、当時不老不死で知られる「橘」を手にいれるため、垂仁天皇の勅命を受けた田道間守が海を越えてシナやインドに渡り、約10年の間探し求め、これを持ち帰りました。
ようやく手に入れた橘を持ち帰ったとき、天皇はすでにこの世になく、田道間守は墓前に橘の半分を捧げてその場で絶食して過ごし、そのまま息をひきとったとされています。
橘ってどんな植物?
橘はみかん科の一種で、現在日本では静岡県より西の本州、四国、九州、沖縄に分布する植物。山口県の長門市では県指定の天然記念物、萩市では市指定の天然記念物に指定されています。
参照元:レッドデータブック やまぐち
橘の実や葉は、家紋や文化勲章にも描かれているなど古くから日本で馴染みのある植物です。
持ち帰った橘が植えられた橘本神社は「みかん発祥の地」
田道間守によって持ち帰られた橘の一部は、和歌山県・海南市にある「橘本神社」へ植えられたと言われています。
現在でもその遺跡は旧社地である「六本樹の丘」にあり、みかんのルーツがここにあるとしてここは「みかん発祥の地」とされています。
橘本神社
お菓子の神様はこうして生まれた
古代の菓子は木の実や果物を天日で干して乾燥させたものであったこと、また聖武天皇が「橘は菓子の長上、人の好むところ」と言われたことから橘が菓子であると考えられるようになり、橘を日本へ持ち帰った田道間守がお菓子の神様として祀られるようになりました。
橘本神社では、毎年4月に「菓子祭・全国銘菓奉納祭」が開催され、全国各地の菓子製造業者からさまざまなお菓子がここに供えられ、商売繁盛の祈願がされています。
また10月10日には「みかん祭り」も開催され、みかん生産者や青果会社から届いたみかんや果物が供えられ商売繁盛の祈願もされています。