MACHI LOG

先代の想いを未来につなげる。江戸っ子、駿河屋の“粋”な挑戦

先代の想いを未来につなげる。江戸っ子、駿河屋の“粋”な挑戦

    CATEGORY: AREA:東京都

東京都墨田区。多くの技術者や職人が集まるこの下町で、地域密着型の工務店がある。創業1657年、自然素材の注文住宅・リフォームを取り扱う株式会社駿河屋だ。「この事業を安定基盤にのせたら私は、死んでもいいです。」強い想いを語る一桝社長にインタビューしました。

駿河屋と言う名前は残しなさい。


私は、材木屋の9代目の後継ぎで、私が幼い頃は景気こそ良かったものの、本物の木材はあまり売れず、新建材ばかりが売れ、輸入木材による国産材の下落などにより

材木業はこの先ない。しかし、駿河屋と言う名前は残しなさい。

と幼い頃から父親から言われておりました。

木材の香りに包まれながら育って、幼稚園の頃から自分のかなづちを持って、木で工作するような子供でした。

そのような環境で育ったので、建築に興味があり、家、ビルを建てたいという気持ちが自然に芽生えてきました。

進路は、最初、大工さんになりたかったのですが、現場監督を周りの方々から助言をいただきまして、建築学科に行ってビル、マンションを建てたりする会社の現場監督になりました。

「自分がたてた家で喜んで欲しい」想いが強くなり独立。

駿河屋の想いが凝縮した宿泊型体感モデルルーム空まめの木

会社員時代、私たち技術者は、一般の方の想像を超える範囲まで緻密な仕事をしているのですが、お引渡しの時にまず先にお礼を言われるのが営業担当者です。

次ぎに設計。現場はどんなに素晴らしくできても、出来て当たりまえの世界です。大企業故に、現場での技術者である私達が直接お客様と気持ちを通わせる機会は、とても少なかったのです。

現場監督として、大きなビルの所長になるにつれ、私自身が近い距離でお客様と向き合って、自分が手がけた建物で喜んで頂きたいと想いが強くなって来ました。

そんな想いが押さえられなくなったころ父親が引退を考える時期に、必要な国家資格を取得し終わり、10年勤めた会社に区切りつけて、駿河屋の事業を継承しました。

いきなり建設会社を始めてもお客様は来ないので、建築の仕事は地域のどこにあつまるだろうかと考えて、不動産会社への営業に特化したハウスクリーニング屋を始めました。

名刺には1級建築士とか1級施工管理技士と書いてあるのにハウスクリーニングなのか?と取引先からユニークに捉えてもらって、徐々に建設関連の仕事が増えていきました。

リーマンショック、自ら大学院のMBAコースへ


不動産会社様からの賃貸住宅の原状回復や店舗の改修、大手の飛び込み営業など行いながら、少しずつ仕事を頂けるようになりました。

そんな時、リーマンショックの影響で、建設業界も大打撃を受け、ますます利益が圧迫されるような状況になりました。

それでも品質は確保しなければなりません。厳しい条件もあります。このまま進んだら9代目の私の代で会社が終わるのでは無いかという危機感が強くなり、自ら大学院のMBAコースに入学しました。

自社のブランドと技術で勝負する事業計画を構築し、現代の建築とともに、無垢の木材や自然素材の良さを生かした、本当に私たちが欲しい健康的な住環境を提供できる建設会社に生まれ変わり、現在に至ります。

自分が家族と住みたい家を建てる。


ビルを建設の仕事をしている時、真っ白なクロスを貼って、ピカピカのフローリングを貼って、ワックスを塗る。それは、とても綺麗なのですが、違和感を感じていました。

同時に、今の住宅はこのようなものなのだろうと、決め付けている自分もいました。そんなある日

「この家に自分の家族をすませたいかな?」

と言う思いが自分の中で生まれ始めました。

それから、建築と体の影響を調べ始めて、どんどん違う業界の事例にものめりこんで行きました。特に野菜を作っている生産者のお話を聞いて、農協におさめている一部の農家さんは、農薬や肥料を使用して立派な作物を作るけれども、自宅では食べていないというお話に衝撃を受けました。

価格が安ければ、本当に良いのだろうか?


そんな時、シックハウス症候群が社会的な問題になり、住宅建材の法規制が行われました。

厚生労働省が規制しているのは13物質あり、この中で建築を管轄する国土交通省が規制しているのはわずか2物質です。クロルピリフォスは使用してはいけない。もう1つの、ホルムアルデヒドは量を規制しなければならない。その2種類だけです。その他は規制なしです。(注:ガイドラインはあり)

ホルムアルデヒドを規制したのでホルムアルデヒドの濃度は下がったのですが、他の化学物質の濃度が上がっているのではないかという報告もあります。

しかしリフォームには24時間換気は義務づけられていないので、新建材を使用して体に悪い物で作られた部屋に換気をしないで密閉された部屋で、若者がゲームばかりしていたらどうなるか?想像してみて下さい。

この事実を、これから家を建てる人がどれだけ知っているでしょうか?

厚生労働省があげている13物質を全て排除し、建材をつくることは非常に難しく、一度に規制してしまうと、そもそも住宅建材業界がなりたたなくなってしまうから、2物質の規制にとどまっているのではないかと私は思います。(その他にも化学性の物質は多種多様に存在する)

一方で、こうした現状がうつ病や引きこもりもそのような要素があるのではと言う人もいます。

これはおかしいです。

このような問題がある時に私達、建設業界の人間は、売りやすいもの、低価格のもの、他社よりも少しでも低価格にして価格競争に勝てるものを選んで提案しているのも事実です。これは住宅業界全体がもういちど考えるべきテーマではないかと思います。

企業としての存在意義

私は、自分が本当に欲しい物、自分が自信を持って提供できる物、もしくは自分の家で使いたい。

「私達が家を建てるのならば、自分が住みたい家」

という想いでお仕事をさせて頂くのが本来の姿であり、存在意義すらないのではないかと思いました。

好ましくない素材を非難するだけではなくて、少し予算をだせば、こういう選択肢もありますよ、と専門家として正しいアドバイスを行うのが本来のプロの仕事ではないかと思うのです。

これは食品添加物の問題と建材の問題は非常に似ていて、安ければ売れる時代となってしまいました。

しかしそうした便利なものを排除した社会は、もう成り立たない時代となってしまったのも事実です。

食品添加物があるからこそ、夏場の忙しい時期に急いで昼食をとることもできるのであり、新建材があったからこそ、高度経済成長をとげることが出来たのだと思います。

しかし、そうしたもののメリットとデメリットを正しくお客様にお伝えし、アドバイスしながら正しく納得して選択して頂くのが本来のプロの姿だと思うのです。

私達が目指す仕事


お客様との距離が近い会社、「駿河屋があって良かった」と言われる会社でい続けたいです。

それは、これからの高齢化社会の中で、見守る役割を担うのは、地元の小さい工務店がとても適しているのではないかと思うのです。

地域で、本当に信頼出来る人でないと家には入れてもらえません。地元の工務店は、そうした関係を築いている会社も多く、信頼されるから家の中で工事をさせて頂けているのです。

だからこそ地元の小さな工務店が地域の見守り隊となり、地域と一緒に成長していく姿が望ましいと思いますし、そうした会社になる事がまず一つの目標です。

社員一人ひとりが相手の事を一人の人間と認識して相手にどうしたら喜んでもらえるのか?感動してもらえるのか?そういった事を、自分で考えながら自分の行動を具体的に変えていくような社員と会社を創って行きたいです。

いい古された話ですが、満足ではなく感動を生み出すのです。

作って終わりではなく、私達は、あえて、感動創造にチャレンジしたい。
そのためには、常に考えて、行動する事が大切です。

社員は、自分の誇り

今、一緒に働いている社員は、私の誇りです。

皆が集まって、それぞれの想いを同じ方向に向ける事を大切にしています。

今は月に2回、課題図書を読んで、皆が集まって感想文を読む会をやっています。読んだら必ず、皆が褒める。否定禁止、どこか褒めるところが必ずあるから褒めて、拍手をする。美点凝視です。

会社のためだけではなく、社員が自分の成長ために、同じ職場で働く社員のために学びを深めていくのです。それが結果としてお客様の為になるとおもうのです。

そうした勉強を続けていった結果、現在ではどんどん組織が一体感がでてきて、社内の雰囲気がとても良いです。気合いが入って皆、自分で頭を使って行動し、お互いがお互いをフォローするとても良い関係になってきています。

誰でも、尊敬できる人と仕事がしたいのです。
常に成長思考で、自分で行動できる。
そうすれば、人生は、充実するし、もっと楽しくなると私は、考えます。
このような人材を育成するための、環境づくりも私の仕事です。

挑戦し続ける駿河屋


一度、材木業自体を廃業し、10年かかり、再び木に関わる仕事に戻ることが出来た今、この事業を軌道にのせることが自分の一生の中でやるべき事と思います。

これが私のチャレンジです。

この事業を安定基盤にのせたら私は、死んでもいいです。

自分で自分を追い込んで、エンジンをまわしていくような、若者が増えてくると世の中は、楽しくなると思います。

周りを見過ぎずに、悩んだら楽しい方に進めばいいと様々な師に教えて頂きました
楽しんで行動していたら、共感する人がついてくる。
未来が不安と考えていると一歩が出ません。

私が好きな書籍の中の言葉で

「暗夜を憂うることなかれ、ただ一燈を頼め」

という言葉があります。

長い人生航路は、途中暗闇になることもある。暗い夜道で、提灯をさげて歩く時は、暗闇を案ずること無く、自分の提灯だけ信じて歩けば良い。
提灯とは自分の信念、志のことだと私は思うのです。

駿河屋は、暗い世の中でも、地域社会の中の光として輝き続けられるように、挑戦をし続けます。

駿河屋で働いて見ませんか?

株)駿河屋では、
・設計
・プランナー
・現場監督(未経験可 要相談)
 (大工、左官などの職方経験者 歓迎)
を募集しております。

独立して間もない方のお手伝いでも結構です。
若い感性に溢れた方を是非ご紹介下さい。
※技術や知識や資格よりも、人を重視しております。

当社募集サイトは以下です。素敵なご縁がつながりますように。
株)駿河屋の採用情報