“転妻”を経て出会った輝ける場所。私らしさを活かす新たな移住のカタチ

移住の定義が「よその土地に移り住むこと」だとすれば、自分の意志ではなく、何度もそれを繰り返す人もいる。“転勤族”と呼ばれる家庭は、移住を繰り返す。そしてその転勤族の妻は“転妻”と呼ばれ、特有の悩みや問題を抱えながらも、その土地でパワフルに生きる女性が多い。

群馬県でラジオパーソナリティとして活躍する横山麻衣さんも、そのひとりだ。群馬県に移り住んで5年ーー決して長くはない群馬での生活だが、現在は県民に地元の情報を届けることを生業としている。ここに至るまでの経緯や、その想いを語ってもらった。

最初はストレスだった「移住」

出身は長野県の麻衣さん。中学生のときに陸上部に入部してからは長距離選手として力を発揮し、高校卒業後は都内某企業の実業団陸上部に所属。日本選手権出場、東京選手権優勝という輝かしい成績もおさめている。しかし監督から厳酷なパワハラを受け、摂食障害とうつ病を発症。3年で退社することになった。

そんな麻衣さんを支えてくれたのが、現在の旦那さん。結婚し、旦那さんの仕事の都合で福岡県北九州市へ移住した。

「移住後は、病気が悪化するほどストレスを感じていました。夫は出張などで不在にすることが多く、友達も親せきもいない。未練がましくランニングしてみたり、逆に家に引きこもったり……」

しかしその後、長女を出産。それが大きな転機となる。

“転妻”のパワーと可能性を実感

わが子を抱いて参加したのは、行政が主催するママ向けの講座。子どもを託児室に預けて手芸などを楽しむ全4回の講座には、さまざまな地域から移住してきたママが集まっていた。

自身と同じような“転妻”も多く、それぞれのママがとても優秀な経歴・能力を持っているにも関わらず、「いつまた移住することになるか分からない」せいでその能力と時間を発揮できずにいる―。

―そのことに気付き、ママたちで地域マルシェを開催しようと計画。そのまとめ役を麻衣さんが担い、地域商店街へのあいさつ回りや営業も行うようになった。

マルシェは回を追うごとに集客数を伸ばし、規模も大きくなり、地元企業から声が掛かるまでに成長した。

「子どもが生まれ、子連れで街を出歩くようになり、初めて地域に根を下ろせていると実感しました。そして同時に、ママが持つパワーと可能性も感じました。特に、移住してきたからこそ見えるもの・できることがあるのだと確信したんです」

育児と地域活動に勤しむ過程のなかで、病状は少しずつ回復。そして次女を妊娠・出産し、今度は群馬県に移住することになったのだ。

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