「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンのもと、新富町が設立した地域商社「こゆ財団」。その採用説明会が、去る10月25日、東京都中央区の「SENQ京橋」にて行なわれました。
説明会でのトークテーマは「地方で自分らしく働く×稼ぐ×暮らす」。財団の活動や今後の展望について語ったのは、こゆ財団代表理事の齋藤潤一(さいとう・じゅんいち)氏、同財団採用責任者の高橋邦男(たかはし・くにお)氏。国内のまちづくりにおいて第一線で活躍する地域商社のコアメンバーと、こゆ財団に興味を持った参加者たちが「地方での仕事や働き方」について語り合いながら、地方での仕事や働き方について考えていきました。
行政だけでは成し得なかったスピード感
こゆ財団が誕生したのは、2017年4月。宮崎県児湯郡にある新富町が、旧観光協会を法人化して設立しました。誕生のきっかけは、新富町役場に勤める一人の職員の声。「このままでは、町も役場もつぶれてしまう」と過疎が進む町の現状を危惧し、町長に提言したことがはじまりです。声をあげたのは、岡本啓二(おかもと・けいじ)さん。現在、こゆ財団で執行理事をを務めています。
“世界一チャレンジしやすいまち”というビジョンを掲げた財団には、町役場や旧観光協会職員、民間企業の最前線で活躍していた方など、様々な出自と経験を持つ人材がが集まりました。行政だけでは成し得なかったスピード感で「特産品販売」と「起業家育成」を行ないながら、地域商社として地域経済の創出に取り組んでいます。
ふるさと納税は9億3000万円に
宮崎県児湯郡新富町は、宮崎県の中部に位置する人口約17,000人の町。宮崎平野を代表する、野菜・果物の産地の一つです。
こゆ財団の誕生後、町は特産品開発・販売促進に力を入れ、全国に新富町のファンを増やしてきました。ふるさと納税の寄附金額は、
・2015年度約2,000万円
・2016年度約4億円
・2017年度約9.3億円
と、こゆ財団が誕生した2017年度には大幅な増加を遂げました。今後も新富町のファンを獲得することで、現在は納税寄付金額30億円の実現を目指しています。
自立して稼ぎ、稼ぎを街に投資する
そう、代表理事の齋藤さんは語ります。ちゃんとお金を稼ぎ、稼いだお金をちゃんと街に投資する。それが財団の中核ともいえるポリシーです。
例えば、こゆ財団がブランディングを手掛けた、1粒1,000円の楊貴妃ライチ。ライチの知名度と品質が認知され、たくさん売れる。町の価値が上がれば、その分、新富町へのふるさと納税寄付額が大幅に上がっていく。そして、稼いだお金を新富町でチャレンジする人に投資する。チャレンジした人が活躍することで、さらにお金を稼いでいく……という好循環が生まれます。
ふるさと納税寄付額は、こゆ財団が関わることで、2016年度の4億円から、2017年度は9.3億円に大幅上昇。そして目指しているそうです。
齋藤:地方でも、しっかりとしたビジネスの仕組みを導入することで、きちんとお金を稼げる状況が生まれていきます。
新富町は、今まさに「チャレンジする人が集まる町」に変化を遂げる最中にいるのです。