日本人が大好きなウナギですが、衝撃的なニュースが取り沙汰されています。それは、2018年1月に報じられた、漁獲量が前年比で1%になったというものです。
大不漁により、ウナギの価格が高騰するのではないかと懸念されたものですが、それ以上に、「ウナギを食べ続けて種は守られるのか」ということを考えた人も多そうです。
日本人とウナギの関係は縄文時代から
実はウナギは絶滅危惧種に指定されていることをご存知ですか。漁獲量の減少に伴い、2013年に指定されました。ウナギはどうなってしまうのでしょうか。
それを考える前に、ウナギと日本人の関係を明らかにしていきましょう。実は日本人とウナギと関係は古く、縄文時代の遺跡の貝塚にウナギの骨があったことから、当時から食されていたことがわかります。
また文献に登場するのは『万葉集』で、編纂した大伴家持が、
石麻呂に 吾れもの申す夏痩せに よしといふものぞ むなぎ(鰻)とり召せ
と詠んでいます。この歌を送られたのは、吉田連老という人物で、「夏痩せしたのがおかしいから、ウナギを食べろ」と言っています。
つまり、当時から精がつく食べ物として知られていたのでしょう。
現在のような蒲焼きのスタイルで、食べるようになったのは18世紀頃からで、その後19世紀に完成し、現在まで続いています。
減っている原因がわからないウナギの漁獲量
さて、問題となっているウナギの漁獲量の減少ですが、要因はどのようなものなのかといえば、実はわかっていません。
乱獲されている説や、気候変動が影響している説など、様々な意見が提出されています。
しかし事実としてウナギの漁獲量が大幅に減っているので、早急な対策が必要だといえるでしょう。
そしてこれは、天然ウナギに限った話ではありません。実は現在商業化されている養殖ウナギはすべて、天然のウナギの稚魚を漁獲して育てるという手法がとられているからです。
日本のウナギ養殖は、1位鹿児島県、2位愛知県、3位宮崎県となっており、それぞれ主要な産業となっていることから、養鰻業者はもちろん、ウナギ料理のお店にとっても、重大な課題だといえます。
個々人の判断だが、食を見直すきっかけに
原因がはっきりしない中で、食べることを自粛した結果、養鰻業者やウナギ料理の店がなくなってしまうことによって、ウナギの食文化自体がなくなってしまうという指摘もあります。
しかしウナギの漁獲量の減少は事実であり、何らかのアクションを起こさなければ、気がついたら絶滅していたという取り返しのつかない状態になりかねないでしょう。
そこで例えば、ウナギを食べられる産地を限定したり、数量を限るなど、食文化の継続と、水産資源ウナギの持続可能性を探れる道筋を考えるべきではないでしょうか。ルールを課すことも時には必要なのではないかと思います。
一人ひとりが、食と資源の持続可能性を考えて、行動するきっかけになることが期待されます。