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移住の理由は「希望する仕事があったから」が20.5%で最大。UIターンを促進するポイントは?

移住の理由は「希望する仕事があったから」が20.5%で最大。UIターンを促進するポイントは?

    CATEGORY: AREA:東京都

東京での移住セミナーは活況。検討者が多いことがわかる

首都圏在住者の約4割が地方への移住を検討しているという状況の中で、実際に地方に、それも小規模市町村にUIターンを行なった人の要因や、現状はどのようになっているのでしょうか。

調査結果を参照してみると、移住定住施策で何が必要なのかが見えてきます。

UIターンのきっかけは、仕事・勧誘・自然環境

「小規模市町村における移住・定住の要因と生活状況に関する調査」によると、UIターンのきっかけとなっているのは、「希望する仕事の募集があったから」が20.5%で最も多くなっています。

次いで、「地域(自治体・住人・家族等)からの勧誘」が18.2%、「自然環境などに惹かれて自ら希望した」が13.2%となっています。

IターンかUターンかで分けてみても、近隣からのIターン者は「希望する仕事の募集があったから」が19.7%で、「地域(自治体・住人・家族等)からの勧誘」が17.9%となっています。

Uターン者は、地域からの勧誘の割合が高い

またUターン者に関しては、「希望する仕事の募集があったから」が33.1%、次いで「地域(自治体・住人・家族等)からの勧誘」が24.0%となっています。

驚くことに、UIターンにおいてはどちらも、希望する仕事があったことが最大の理由であり、次いで地域からの勧誘が多いという共通点があります。

遠方からは豊かな自然を求めての移住も

ただし、近隣市町村、同一県内からのIターンではなく、遠方からのIターン者に関しては、「仕事」に次いで、「自然環境などに惹かれて自ら希望した」が20.3%となっています。

この場合でも、地域からの勧誘は、理由の4位に入っており8.8%となっています。

この調査より、移住に求められているのは、仕事、地域からの勧誘、自然環境であることがわかります。

最も効果ありは「子育て支援」だが有効かどうかには疑問

同調査においては、移住定住施策への移住者の関心についても明らかになっています。

居住地域において実施されている「移住・定住」促進施策のうち、何が有効だと思うかという内容です。

それによると、最も効果があると回答されたのは「子育て支援(保育園整備、保育料軽減、医療費支援、出産祝い金等)」で29.8%となっています。

次いで高いのが、「医療機能整備」です。人口減少が進む中で、地域医療の拠点が整備・統合されていく中で、実際に住むところからのアクセスや、いざというときの不安への対応が求められているといえます。

制度の認知度不足か、ニーズにマッチしていない可能性も

一方で気になるデータもあります。最も効果があるとされる「子育て支援」ですが、実は2016年度においては全国で8496の制度が実施されています。内容は、新婚世帯への家賃補助や、出産のお祝い金、保育料無料など、様々な切り口から子育て支援が実施されています。

各自治体も、子育てし易い地域を掲げ、積極的に子育て世代を呼び込んでいることは、各種ポスターや広告を見てもわかることでしょう。

しかしUIターン者へのアンケートでは、「子育て施策や福祉施策の充実を知ったため」という理由での移住は、1.2%にとどまっています。つまり、子育て支援それだけでは、大きな移住理由にはならず、あくまで補完的な項目であることがわかります。

仕事は顕在化しているわかりやすいニーズだが、それだけでなく呼び込むことも有効

様々な調査で言及されるように、地方移住を促進するためには、希望する仕事があることが欠かせません。しかしそれだけではなく、地域からの呼び込みも有効で、かつ決定的な要因になり得ることを調査は示しているといえるでしょう。

呼び込めるということは、地域と移住希望者(移住検討者)の関係値がまずできるということでしょう。

ここからわかるのは、例えば東京での移住促進セミナー等では、一方的なPRではなく、いかに関係値を作れるかという部分に軸足を置き、運営していく必要があるということでしょう。

検討している方、希望する方と地域を結びつけるのは、小さな縁づくりからだといえます。

参考文献:
「小規模市町村における移住・定住の要因と生活状況に関する調査」
移住っていいことあるんだ!!知らないと損する全国自治体支援制度8496<2016年度版>