地方移住へのハードルとしてよくあげられるのが「仕事」です。希望する仕事があるのか、どのような条件の仕事なのか、移住はしてみたいけれど、と二の足を踏ませてしまう大きな理由になっているようです。
それはそうです。わざわざ地方に移住してまでやりたくないことをやったり、自己犠牲を強いられるような仕事には就きたいわけがありません。
25歳〜44歳という若手のUIJターン移住者を対象としたアンケート調査の結果を見てみると、移住して仕事をすることが幸せに結びつくかもしれない実態が見えてきます。
収入は減るが、仕事の満足が高まる地方移住
地方移住者の仕事面での変化をたずねた調査によると、収入に関しては、「減った」が45.5%と多く、「増えた」の32.7%を大きく上回っています。
よく聞かれる話ですが、特に大都市圏からの移住者の場合、収入を同額で維持することは難しく、何割かの収入減を想定しなければいけないといえるでしょう。
時間面の負担が軽くなる
ここから良い面が続いていきます。まず労働時間については、「減った」が35.3%で、「増えた」の29.5%を大きく上回っています。
また通勤の負担に関しても、「減った」が48.7%で、「増えた」の25.0%を大きく上回っています。
つまり収入は下がったが、労働や通勤といった働くことに伴う時間も減少していることがわかります。
トータルでみると満足度が高くなる傾向にある
その結果、仕事全般の満足度は、「増えた」が37.2%で、「減った」の29.5%を大きく上回っています。
収入は減少する一方で、通勤を含めた働く時間そのものが減り、全体の満足度が向上していることがわかります。
地方で働くことによって、時間的なゆとりが生まれることがわかります。
時間と精神的なゆとりで生活の満足度も向上
働くことと切っても切り離せない生活面ではどうなっているでしょうか。
収入の減少に伴い、家系のゆとりは「減った」が36.5%となっており、「増えた」の32.7%を上回っています。
しかし一方で、精神的なゆとりは「増えた」が37.2%となっており、「減った」の29.5%を大きく上回っています。
居住スペースにいたっては、「増えた」が55.1%で、「減った」が16.0%となっており、住空間のゆとりが大きく増えていることが読み取れます。
時間にゆとりができたことで余暇の時間に関しても、「増えた」が38.5%と、「減った」の23.7%を大きく上回っています。
近所付き合いが移住したから増えるというわけではなさそう
移住に関する話題の際によく指摘される「近所付き合い」に関しては、意外にも、「増えた」が16.7%、「減った」が30.1%となっており、移住したから必ずしも増えるというわけではないようです。
ただし近所付き合いという言い方なので、地域でのコミュニティへの参加などは、別問題として考えた方が良いかもしれません。
近所付き合いが煩わしそうと、考えて移住を躊躇している方にとっては、多くの場合、近所付き合いは移住前と変わらないと考えても良さそうです。
「地方で働く」は幸せにつながる可能性も
以上で見てきたことと合わせて、生活の満足度は「増えた」が39.7%、「減った」が25.6%となっており、生活面の満足度も高まっていることが明らかになっています。
地方で働き、暮らすということについては、都市部での生活と比べると収入面ではマイナスになるが、総じてプラスになる面が多く、結果的に時間的・精神的にゆとりがある生活が送れることがわかります。
地方移住は、人それぞれの状況があるとはいえ、客観的なデータは参考になるでしょう。仕事の面でも、生活の面でも満足度が高まる傾向がある地方移住。気になっている方は、一歩踏み出してみませんか?
参考文献:「UIJターンの促進・支援と地方の活性化―若年期の地域移動に関する調査結果―」