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25歳のIターン農家に学ぶ! 知らない土地に農業移住するコツ

25歳のIターン農家に学ぶ! 知らない土地に農業移住するコツ

    CATEGORY: AREA:宮崎県

PR for アグリビジネススクール

現場の最前線で活躍している農家さんをゲストに、農業ビジネスについて学ぶ講座の「アグリビジネススクール」。

第9回目となる講座が開催されました。ゲスト講師は、宮崎県日南市でイチゴ農家として活躍する渡邉泰典さん。通称「たいぴー」と呼ばれて親しまれている、25歳です。

渡邉さんは、新規就農2年目のイチゴ農家。縁もゆかりもなかった日南に、大学を中退して移住し、農業をはじめました。

25歳、知らない土地で農業移住

なぜ渡邉さんは、見知らぬ土地でイチゴ農家となったのかといえば、師匠となる人物との出会いだったそうです。東京の大学在学時に、九州を旅していた渡邉さんは、偶然師匠となるイチゴ農家と出会います。

その後、意気投合し、東京の学生を農園で受け入れ、グリーンツーリズムのようなことをしていたそう。そこで地域と関わる中で、「この地域の人たちと一緒に暮らしたい。農業をやろう」という気持ちになったといいます。

移住して新規就農をする際にネックになるのは、どこで誰に学び、どうやって農業をしていくかということでしょう。渡邉さんは、ポイントに「何回も足を運ぶこと」をあげます。

移住するまでの1年間くらいで、5、6回その地域を訪れています。どんな人がいるのか、一緒にいたいかということが大事だと思います。

渡邉さんは、地域の人と接する中で、この人たちと一緒に農業がしたいという気持ちになったのが決めてだったそうです。

地域への入り込み方

無理やり転がり込むように移住し、まず始まったのはイチゴ農家のもとでの修行です。内容や方針で時に対立をしながらも、0から農業について学び、実践していきます。

まわりがお年寄りばかりという状況の中で、「東京から来た若者」という見られ方を脱して、よそよそしい付き合いではなくなるか、というのが課題になったのだといいます。

地域への入り込み方は2つポイントがあると思います。ひとつは、方言を覚えて、方言で会話できるようになることです。

60歳以上の人とは、方言だとタメ口で話せるということもわかりました(笑)。やっぱり標準語だと、相手も気を使ってしまいます。方言という共通言語の上でコミュニケーションすることが大事だと思います。

次に、いろいろな名前で覚えてもらうことです。ぼくの場合は、バルーンアートや、皿回しといったことも演っていて、地域のイベントなどに呼ばれるんですね。その他にも、中学生向けの塾の先生もやっています。

だから人によっては、イチゴ農家の渡邉さんだし、バルーンアートの渡邉さんだし、塾の先生の渡邉さんなんです。

こうやって、地域と自分との接点を増やすことが大事だと思います。

農家はアーティスト。理想のイチゴを求めて

農業で稼ぐということは、一筋縄ではいかないことに渡邉さんは直面し、乗り切ってきました。

農業の修行をしながら120万円を貯め、独立。通常2年ほどかかるところを、「はやく自分でやりたいという気持ちをおさえられなかった」と、早めに切り上げて、ひとりイチゴ農家の挑戦が始まります。

ハウスを中古で購入したり、スコップや桑など必要な備品を揃えていくと、どんどんお金が減っていったといいます。その中で、クラウドファンディングを活用したり、中古品を活用することでできるだけ費用をおさえながら進めていきます。

試行錯誤の末にできあがったイチゴは、「くらうんべりー」と名付けられ、直売所やインターネット通販で人気。どうしたら一人でも多くの人に興味をもってもらい、買ってもらえるのかを考え尽くし、パックの大きさから宣伝のためのYouTubuまで様々なことにチャレンジしていると言います。

試食として渡邉さんの育てるイチゴも登場

表現したいという思いが強いんだと思います。農家は、畑というカンバスに絵を書くアーティストだと思っていて、農家さんの思想や方法っていうのが、その田畑の作物に現れるんですよね。まさにアートだと思っています。

渡邉さんの移住して農業の歩みを聞くと、移住のきかっけになるのは、誰と出会うかということだといえます。移住先の条件や、将来が見えるかどうかといったことよりも、その地域に誰がいるのか、自分は誰といたいのかを考えることが重要です。

そして地域に入って、縁を広げていく。すると、活躍の場が増えて、さらにまわりの人に知ってもらえる。

そのように、地域で自分を広めていくというきっかけをうまくつかみ、利用できるかどうかが、大事だといえそうです。