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地元のファンづくりから、地域づくりを始めるべき1つの理由

地元のファンづくりから、地域づくりを始めるべき1つの理由

    CATEGORY: AREA:東京都

観光資源があるのにうまく伝わっていない、食の魅力が伝わらないなど、「この地域の良さが人に伝わっていないこと」が原因で地域が盛り上がっていないと考える人が多いようです。

「こんなに良いところなのに」と嘆く前に、その良さが誰にどのように伝わっているのかを考えてみると、地域づくりの一歩目がスタートできるかもしれません。

キーワードは、地元客です。

青森県三沢市「寺山記念館」の来場者増加の理由

歌人や劇作家として活躍した寺山修司の故郷・青森県三沢市。ここに、寺山修司の遺品をはじめ、ゆかりの品々が展示され楽しめる三沢市寺山修司記念館があります。

年間1万人を超える来場者を誇る施設ですが、2010年まで客足は減少の一途を辿っていました。復活の契機となったのは、地元からの集客に成功したことだといいます。年々、地域住民が参加できる仕掛けを増やしています。

今年は、寺山修司ゆかりの劇を住民参加型で市内各所で実施。観客1200人以上が集まりました。

プロの役者だけでなく、地元民もスタッフとして出演し、人の流れを生み出しています。

シャッターがしまった店が多くなった商店街からも、街に活気がでたと喜びの声が上がったそうです。

震災復興!熊本阿蘇の地元に根ざした動物園の集客戦略

クマとの触れ合いが人気だ

熊本県阿蘇地域に、「阿蘇カドリー・ドミニオン」という動物園があります。広大な敷地に、約100種500頭羽の動物たちと触れ合うことができます。

2016年に発生した熊本地震で大きな被害を受けた地域で、阿蘇カドリー・ドミニオンでも施設への被害こそ大きくないものの、観光ルートが変わってしまったことなどを受け、全盛期は年間40万人を誇っていた来場者数が半分以下となっているとしています。

テレビ出演もする目玉となる動物もある中で、阿蘇カドリー・ドミニオンが目を向けたのは、観光客ではなく、地元のお客さんたちでした。

地元の方々は入場料が割引になる取り組みをはじめ、毎月地元に向けた取り組みを実施し、何度も足を運びたくなるような仕掛けをつくり、地域に根ざした動物園を軸に運営をおこなっています。

「将来的にはアジアからも観光客を呼び込みたい」とする成長戦略を描く中で、まずは地元から、震災後の1歩目を踏み出しています。

まずは地元。ひとりのファンから始まる

経営の神様ピーター・ドラッカーの「われわれの顧客は誰か」を引くまでもなく、すべてのサービスは誰かに向けて行われるものです。

地域を盛り上げるために、地域資源を活かそうというところまでは多くの地域で実施されていることでしょう。

その次に、誰に向けてサービスをするのかを定め、その際に地域の外側ではなく「地元」に目を向けてみる。地元にファンができれば、定期的に訪れてくれたり、何かに取り組む際の協力者になってくれる可能性が高くなるはずです。今回取り上げた例はどちらも、地元のファンが取り組みを支えています。

漠然とした誰かに向けてではなくて、ひとりのファンづくりから地域づくりは始まる。

まずは、地元から地域の魅力を伝えることから始めてみませんか?