MACHI LOG

就農と地域ブランドづくり、秋田の若手農家が目指す儲かる農業

就農と地域ブランドづくり、秋田の若手農家が目指す儲かる農業

    CATEGORY: AREA:秋田県

秋田県の南東部に位置する湯沢市。

日本ジオパークの1つとして認定される地域で、豊かな自然の恩恵を受け、高品質な特産物がたくさん生み出されています。

実際、湯沢市三関地区の特産品である「せり」や「さくらんぼ」などは、都内の大手百貨店やスイーツ店で取り扱われるほど、全国から高い評価を受けています。

今回、地域のために奮闘する若手農家・奥山和宣さん(31歳)にお話を伺いました。

嫌だった農業を変えた分岐点

地元の農業高校・短大を卒業し、家業の農業を営まれている奥山さん。

子供の頃は農業に対して、「休みもなく、きつい・汚い」というイメージがあり、正直嫌だったと言います。「自分は、やった分だけ成果が出る、車の営業のようなセールスマンを目指したい。」と思っていたそうです。

そんな奥山さんを変えたのは、全国の農業高校で行われている「農業クラブ(個々がテーマを決めて試験をし、結果を発表し合い、交流を深めながら相互の成長を目指す)」という活動でした。

地元の農業高校で生徒会長を務めていた奥山さんは、「農業クラブ」にも積極的に参加し、全国の副会長を務めました。その全国大会を秋田で行うことになり、月に2回ほど全国各地に行き、泊まりで交流を深める機会があったそうです。

その活動を通じて、全国の現場を知り、客観的に自分の故郷を見ることで、自身の考え方が大きく変わったと言います。

自分の故郷には、小さな産地であるにも関わらず、せりとさくらんぼという2つのブランド品がある。農業は大変だけど、これを自分たちの代で絶対に無くしてはいけない。そう考え、初めて心から農業に向き合えたんです。

後継者不足の中でのチャレンジ

三関のせりは、長く旨味の強い「根」が特徴で、全国から高い評価を得ています。しかし、「根が長い状態で収穫する」ということを考えると、オートメーション(機械化)が不可能な作業が続き、生産量を上げるためには人手が必要になります。

そこで課題となっているのが、後継者不足です。現在、三関地区のせり農家は約50戸ほどですが、その後継者(30代以下)は5人しかいない状態で、耕作放棄地も増えていると言います。

それでも、奥山さんは「儲かる農業」を目指し、仲間と共に挑戦し続けています。

農業は、やればやっただけ、成果に繋がります。これは、昔から自分が求めていたことです。しっかりと手をかければ、それが結果として表れ、食べた人に喜んでもらえます。

農業経営者として地域の魅力発信

「農業を通じて、地域の魅力を伝え続けたい。」

奥山さんは、農家の3代目として、1人の農業経営者として、地域の基盤である一次産業を盛り上げ、就農人口を増やすことに貢献したいと考えています。そして、そのために、自分たちの人件費をきちんと考え、所得を上げることを考えながら、農業に取り組まれています。

1人ではできません。家族経営にも限界があります。地域の仲間と協力し、横の繋がりを強めながら、地域ブランドをつくっていきたいです。

奥山さんには、2人のお子さんがいます。その子供たちの世代が誇れる地域をつくるため、農業を通じて故郷の魅力を日々伝え続けています。