小布施町といえば、栗菓子が特に有名です。
その中でも、創業は文化5年(1808年)という、200年の歴史を誇る栗菓子屋があります。
その名は、桜井甘精堂。
町づくりと会社の切れない関係
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栗菓子に留まらず、飲食店の営業をはじめ、まちづくりへも積極的に関わっていらっしゃいます。
代表の桜井昌季さんのもとを、全国で地域の仕事作りを行っているNPO法人まちづくりGIFTの齋藤潤一さんが訪ねました。
小布施が観光地になれた理由
桜井: 自分の仕事を考えてみると、町の仕事が6割くらいで、会社の仕事が4割くらいの割合になっています。
観光協会の会長、商工会議所の副会長、小布施のイノベーションセンターの理事長など、いろいろと関わらせていただいています。
今では小布施といえば観光地として成立していますが、そうなってまだ30年くらいなんですよ。
観光客から見える小布施町の魅力
桜井: 観光地の基本的な条件として、「見るものがある」「食べるものがある」「買うものがある」というのが揃って成り立つと考えています。
小布施の場合、まず栗菓子っていう買うものがあって、次に葛飾北斎館などの見るものができて、栗菓子屋がそれぞれレストランも始めたから食べるものもあるというわけ。
そしてポイントは“食べ物”。旅の楽しみは「食べ物」なので、食べ物が美味しくなければリピートに繋がりません。
観光客の方の言葉が象徴的で、「小布施って観光地なのに食べるものが美味しくて好きなんですよ」という声を聞きました。
小布施が観光地として抜きん出た理由
桜井: 人がくるから食べ物を出していれば成立すると思っている人もいるんですが違います。
小布施はもともと「食」に対するこだわりが強いし、長野県自体が「食」に特徴の出しやすい地域だからかもしれませんが、食べるもののクオリティは高い水準にあると思っています。
その「食」でどう“おもてなし”ができるかを考えることが一番大切だと思います。
小布施町はひとつのカラーにならないから強い
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桜井: 小布施町は小さな町の中に栗菓子屋が7軒ある。そのうち大手が3軒です。
それぞれレストランもしているんですが、ターゲットがまるで違う。
メニューを絞って時間のないお客さんにスムーズに出すという竹風堂、コース料理で一品一品おもてなしする小布施堂さん、うちは、数多いメニューを特徴にしていて、観光客よりも地元の人のお客さんに何度も来て欲しいと考えています。
それぞれ、時間のない観光客の方向け、時間も余裕もある方向け、そして地元民に向けてというように、やり方が異なっています。
そしてもちろん3軒それぞれが長野県北部の特徴を出したメニューにしています。
いろいろな選択ができる町
桜井: 小布施町というカラーの中に、いろいろな色があるんです。
だから、お客さんがいろいろな選択ができる町になっています。
みんなで揃えようではなくて、それぞれバラついているのを良しとするという町です。