2016年1月22日~1月31日、宮城県仙台市が「仙台起業家週間(SENDAI Entrepreneur Week)」と定め、起業・創業に関する様々なイベントが開催されました。
その中の1つとして、全国で行われてきた「Startup Japan Tour 2015」が宮城県でも開催されました。
全国のスタートアップが集結、Startup Japan Tour 2015 in 宮城
2016年1月30日、仙台市にある東北大学片平キャンパスにて、Startup Japan Tour 2015 in 宮城が行われました。
イベントでは、スタートアップ・ベンチャーとの関わりが多い支援者・投資家によるパネルディスカッション。そして、東北だけでなく、全国から集まったスタートアップによるピッチ大会が行われました。
今回は、パネルディスカッションやピッチ大会を通じて感じた、地方スタートアップが高めるべき3つのポイントをお伝えします。
地方スタートアップが高めるべき3つのポイント
パネルディスカッションの中で、地方が抱える課題の1つとして、スタートアップの「スケール感」が議題となっていました。
仙台市は、起業数で全国の中でも一二を争う地域。しかし、スモールビジネスが非常に多く、メガベンチャーに成り得る存在は非常に稀な存在です。
全てのスタートアップが必ずしもメガベンチャーを目指す必要はないでしょう。しかし、もし目指すのであれば、以下の3つのポイントを高める必要があります。
1:ビジネスモデル
2:顧客価値
3:資金力
東京に比べると、まだまだ向上できる余地が残っています。
1:ビジネスモデル
これは言うまでもないことかもしれませんが、今回の起業家によるピッチを拝見して、ビジネスモデルを磨き続けることの重要性を改めて感じました。
特定のニーズに対して生まれたサービスが、磨き上げられて着実に成長し、スケールしていく未来。それをステークホルダーに伝えることができるかどうかは、企業の成長性を考える上で重要なポイントになります。
日常に見られる、東京と地方の差異
パネルディスカッションの中で、「東京では、浅草の定食屋ですら、若い女性たちがVR技術を活用した新規事業の話をしていた。」というエピソードが紹介されていました。この点でも、地域性の違いが見られます。
愚痴や文句を言い合うのではなく、お互いの中にあるアイディアや技術を選択しながら組み合わせ、生まれたビジネスモデルに対して検証と改善を繰り返しながら磨き上げる。そんなことが、もっと普通に行われるようになれば、東北にもまだまだ素晴らしいビジネスが生まれるはずです。
2:顧客価値
顧客から、圧倒的に選ばれ続けるための価値を提供できるかどうかは、非常に重要です。顧客の「ニーズ」を理解し、満足度を上げるために徹底的に技術を改善し、サービスの質を高め、顧客体験を向上させることが求められます。
今回のピッチで発表されたサービスについて、自分自身がユーザーであるという起業家の方が多くいらっしゃいました。
自分自身が制作・生産するプロダクトのヘビーユーザーであるべき
NIKEデジタルスポーツ担当副社長 ステファン氏
□出典:ベロシティ思考
優れたスタートアップは、顧客・ユーザーのことを考え続けています。
3:資金力
事業を継続的に成長させる上で、資金力は重要です。
パネルディスカッションの中で、東京と地方の違いについて議論された際、資金調達についても話が及びました。「地方のスタートアップは、資金調達の方法が分からない。一方、東京では自分自身の経験や先輩からその方法を学んでいる。」
東京のスタートアップの場合、起業家が上場企業やメガベンチャーで勤務してから会社を立ち上げるケースが多く、会社設立時にはある程度の経験値や人脈があるという状況が考えられます。それ故、資金調達についても、学ぶ機会が多いのです。
地方スタートアップでも資金調達はできる
しかし最近は、地方のスタートアップでも自ら動きさえすれば、快く相談に乗ってくれる環境が構築されつつあります。
当日パネルディスカッションに参加された、東北の志高い起業家を支援する「一般社団法人MAKOTO」や全国のスタートアップを支援する「株式会社サムライインキュベート」は、資金調達においてもサポートされています。また、同じくパネルディスカッションに参加された「さくらインターネット株式会社」は、スタートアップ向けの支援プログラムも提供されています。
まず、自分には敷居が高いと諦めずに、気軽に相談してみましょう。
最後に:地方でもオープンイノベーションを起こせるか
東京と地方を比較した際、もう1つの違いとして出てくる議題が、大企業とスタートアップによるオープンイノベーションです。
東京では、大企業がスタートアップへの注目度を高めていますが、それが地方ではまだあまり見られないと言います。
地方のスタートアップがビジネスモデルや顧客価値を高めていくと同時に、地方の大企業も地方のスタートアップとの連携を深めていけると、より大きな動きが起きてきそうですね。