仕事・学び・創造・仲間・アイディアを求めてクリエーター、起業家そして近所のお母さんも集まる場所「3rd ward」
はじまりは、創造する場所がなかったから
ニューヨーク、ブルックリン地区は新たなSOHOと言われるほど、新しいアート、文化を発信する場所として近年注目を浴びています。より創造的な場所を求めてクリエイターたちが移り住み、活動拠点としているのです。
3rd wardの創始者、Jason Goodman と Jeremy Lovitt の2人もフリーランスのクリエイターとしてニューヨークに移り住みますが、移り住んで最初にぶつかった問題が「創造する場所がない」ことだったといいます。
送信者 201210-3rd |
独立して活躍するクリエイターたちのほとんどのオフィスは家かカフェ。孤立しやすいクリエイターたちが仕事ができる、知り合える、学べる場所は作れないか、という二人の思いは2006年に実現し、3rd wardがオープンします。
3rd wardはオフィス機能を備えたスペースというだけに留まらず、プロ仕様の写真撮影スタジオ、木工や金属加工のための
作業場などがあり、ここから多くのテーブルやいすなどの木工品、または写真集などが生み出されているそうです。
この他、10畳ほどのガラス張りのスペースが個別レンタルされ、オフィスとして利用しているビーズ作家やストローを使ったアーティストらが熱心に作業している場面も見られました。
作業スペースを必要としない、Webデザイナーなどは、日の当たる大きな部屋に置かれた木製のテーブルにパソコンを広げ、
パソコン上の仕事相手と何やらオンラインチャットで相談しているようです。
3rd wardがユニークなのは、ここを仕事場にするクリエイターたちが教えあう学びの場があること。
3rd wardにとって、教育部門は事業の大きな柱の一つで、毎日2~3の教室が開催されています。
クラスは、ドレス製作、香水の調合、写真の現像、Photoshopの使い方、本棚の作り方、コンポスト講座、オーディオ機材の改造の仕方など、ここに集うクリエイターたちの数だけ講座が開設されていると言っても言い過ぎではないほどです。
この他、フリーランスとして活躍するクリエイターのためのビジネスプランニング講座やウェブマーケティング講座なども開設されていて、クリエイターたちはまさにときに先生になり、ときに生徒となって活躍しているのです。
これらの講座は3rd wardを利用するクリエイターに留まらず、ブルックリンやマンハッタンなどニューヨーク中から講座を受講しに
来る人も多く、クリエイターたちの才能を中心にしたコミュニティも形成されつつあります。
筆者が訪れた時に案内してくれたLisaも映画ディレクターとして製作をつづけながら、3rd wardで他分野のクリエイターと知り合うことで映画づくりのヒントをもらっている、と話してくれました。
3rd wardは営利企業です。クリエイターたちのニーズがある場所を開拓し続け、今後ニューヨークのマンハッタン、フィラデルフィアなどにもオープンすることが決まっているそう。
フリーランスで仕事をしながらも、こうして横のつながりを創れる場所、仲間と刺激を産みだしながら新しいものが創れる場所、そして自分の才能を使って誰かに教える場所、そして教えられる場所が3rd wardなのだ、と思いながら3rd ward を後にしました。