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地域づくりの海外事例:ドイツのユーンデ村の再生可能エネルギーで持続可能な地域づくり

地域づくりの海外事例:ドイツのユーンデ村の再生可能エネルギーで持続可能な地域づくり

    CATEGORY: AREA:地域活性化の海外事例

ユーンデ村は、必要なエネルギー(電気・熱)を、再生可能で、しかも二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーで全て供給しているドイツ最初のバイオエネルギー村。このことで世界から注目を浴び、多くの人々が訪れる村になりました。こうしたまちづくりによる地域活性化も一つのかたちです。

新しい取組を柔軟に受け入れる

ドイツ中部の学問の街として有名なゲッティンゲン駅(Goettingen Hauptbahnhof)から車(タクシー)で約20分。ユーンデ村では、必要なエネルギー(電気・熱)を再生可能で、しかも二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーで全て供給しています。
必要な資源は、豊富なバイオマス(家畜糞尿と間伐材)に加え、空いている農地でエネルギー作物(トウモロコシ、穀物類、ヒマワリ等)を栽培することに

よって、村内で全て賄えることが可能です。それらの資源を、バイオガスによるコジェネ施設(電熱供給)と木質チップによる地域暖房施設でエネルギー化がなされ、現在では村にある約200世帯が、暖房熱と電気の供給を受けています。

ゲッティンゲン大学循環型社会研究センターと共同で取り組むこのプロジェクトによって、画期的なエネルギー自給自足モデルの村として、世界各国から視察に多くの人が訪れるようになりました。

エネルギー自給自足村という地域活性のやり方

このプロジェクトでは、当初環境面におけるメリットは想定していましたが、他にも地域が活性する、地域が元気になることに予想以上に大きな効果がもたらされることに驚きがあったそうです。

一点目は、地域経済の向上です。地域にある資源を活用するので、これまで燃料の購入費用が地域外に流出していましたが、それらは地域内に留まるようになり、加えて農家は、エネルギー作物や家畜糞尿、間伐材といったバイオマスを資源として販売することで、副収入を得ることができるようになったので
す。これが地域経済の向上をもたらし、雇用の創出にもつながっているのです。

二点目は地域住民の結びつきが高まったことです。このプロジェクトは元々、大学との共同研究から始まったものですが、その推進にあたって、地域住民とのディスカッションや説明会を重ねることで、住民間のコミュニケーションが円滑になり、主な決定は地域住民が中心となって進められる等の互いの結びつきが強くなったというわけです。

三点目は、とても重要なことでですが、、こうした先進的なプロジェクトに参加していることによる誇りと地域への愛着度合が高まることで、国内外から多くの視察者が訪れるようになり、住民たちのこのプロジェクトに対する思いが強いものとなり、地域への愛着や誇りがより一層高まっていくのです。

背伸びをしない。始められるところから始める。

なかなかJühndeのような大規模なプロジェクトとしての自給自足の街のまちづくりをいきなり行うというのは難しいと考えられます。でも、できるところから環境に配慮した街づくりはすぐにでも始められる取組ともいえます。

例えばゴミ一つ落ちていないクリーンな街、ゴミを減らす努力を街ぐるみで行う、太陽光パネルによる街の総発電量を表示している、CO2排出量25%減の街等々、環境による地域活性の方策はたくさん考えられます。特に小規模な街ではやり易いでしょう。

東京都墨田区の雨水利用といった都市型洪水対策と地域の水循環を促進するといった新しい環境を利用した地域の活性の事例もあります。(東京都墨田区:
雨水利用HP http://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/kankyou_hozen/amamizu/index.html)。
環境とうまく共生する街には、住みたいという人も増え、新技術も集まる等の経済的効果が期待できます。そして何よりも住民たちが「こんなにも地球に、環境に優しい生活をこの街ではしているのだ」という誇りとなり、地域に根差した活動として定着するでしょう。何もない、とあきらめるのではなく、「何かを始める」気持ちが大切です。