ライネフェルデの奇跡ー人生を主役にした奇跡の団地再生

老朽化が目立ち始めたライネフェルデの団地群の再生プロジェクトには、街づくりに人々の「人生」という視点を織り込んだ、非常に細やかに行き届いたものです。ドイツでも常に「住みたい街」上位にランキングされるライネフェルデの街づくりはどういうところにあるのでしょうか。


住みよい街として定評のあるライネフェルデ

ドイツ中部、ゲッティンゲン駅(Göttingen Hauptbahnhof)からREで約40分、ライネフェルデ駅(Leinefelde Hauptbahnhof)下車。駅からまっすぐ伸びる歩行者専用道路を10分程歩いていくと、ライネフェルデの団地群に辿り着きます。
 
ライネフェルデの団地群は1950年代に建築された集合住宅群。老朽化が目立ち始めた1990年代中頃より、市の管理当局、住宅会社、住民によって団地再生のプロジェクトが進みだすことになりました。そのまちづくりは非常に戦略的で、かつて工業地帯として栄えた頃の住宅を単に改修するといったかたちではなく、この機会をとらえ、より人々が住みやすい街づくりを実行したことにあります。計画的な地区整備、交通網の整備・職業訓練センターの創設等の推進、景観との調和、人々の生活に潤いを与える体育館や競技場、アクティビティ施設の建設等機能等地域全体がサステナブルに循環するようにかたちづくられ、住みよい街として国内外から高い評価を得ているのです。
住む人々が主役の街

ライネフェルデのまちづくりの最大の特徴として挙げられるのが、「住む人々が主役」のまちづくり。こうした団地再生事業となると、概して建物の修復という「物」に重点が行きがちなところがありま。しかし、ライネフェルデではそこに住む住民たちが潤いのある生活を送るには何が必要か、こうして構築した地域にとって、その機能を持続的に維持し続けるためにはどうすればよいのか、という点を再開発ポイントとしたのです。
住宅への工夫

塗装を少し工夫するだけでも、住む人の気分を楽しくさせ、また住宅へのイメージが向上します。また、建物のエントランス部分に屋根を着けるなどする工夫によって、高級感を醸し出しているのです。
空間の利用
建物と建物の間の空間を広くとり、緑を多く配置することで、ゆとりある空間を作りだしています。これも既存の建物を取り壊すなどして、住民が生活しやすい居住空間を確保するためになされたものです。
アクティビティの充実
住民の生活に潤いを与える、体育施設、文化施設、競技場等の住民サービス施設の充実が図られている。
道路整備による街の機能の明確化
  適切な道路整備により、地区それぞれの機能をもたせるゾーニングがされています。鉄道駅を中心とする旧市街およびショッピングモール地区、低層住宅が中心となる旧市街と団地地域との融合地点、団地地区、公園や競技場等のアクティビティゾーン、郊外の工業地域へつながるゾーン、と道路によって明確に区分されている。機能をまとめることで住環境の確保とへ利便性の確保されているのです。
職業訓練センターによる就業支援
団地内に職業訓練センターをつくり、就業トレーニングを得る機会を提供しています。この取り組みは、周辺地域への労働力の提供、住民にとっては生活の安定を得られることとなり、持続可能なまちづくりの一つの方策として機能しているのです。
その他
団地周辺の住宅地についても、十分な間隔や緑を配置することで、美しい町並みを確保している。また、街のシンボルとして、教会を大切にした景観を保持してます。例えば写真のように教会周辺には高い建物を作らず、街のいたるところから教会を眺めることができるように建物の配置がなされています。
「人」を主役とした視点
住宅地において、大切なのは住宅でもなく道路でもなく、まず「人」です。人を主役にしていくと、そこに何が必要なのかが見えてくるのではないでしょうか。
ライネフェルデでは、住民たちが楽しく毎日が送れるよう、ただ古くなった建物を修繕するだけでなく、外観デザインにも一工夫を行いました。そして住民たちの生活、もう少し進んで「住民たちの人生」の視点から、ライフスタイルを綿密に考慮し、教育施設やアクティビティプログラムの充実、職業訓練センター設置等というかたちで支える環境を整えています。ライネフェルデが「住みたい街」として人気が高い要因はこういう点にきめ細かく対応しているところにあるといえるでしょう。企業誘致をしたり、箱もの施設を作ったとしても、そこに住民の視点が無ければ一時的な効果しか生まない可能性が高くなります。住宅地ではそこで一生を過ごす人も多いのであるから、住民が主役、住民の目線で生活を潤す方策を練ることが重要なのです。
こうした視点を活かし、例えば「住民サービスが徹底している街」として、クローズアップするのも良いと思います。日本一幼児教育に力を入れている、学校外の課外事業が充実している、地域センターの講座数が地域一充実しているなど、生活サービスに密着した政策をとるなどの方法も考えられます。住みよい、充実したサービスが受けられる地域として、内から活性化するまちづくりという視点も考えられるのではないでしょうか。

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