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【多拠点生活者の目線-佐々木俊尚】全国各地に移動生活を支える拠点づくりを

東京・長野・福井の3拠点を点々と暮らしていると、移動が日常になり、特に苦でも面倒でもなくなってくる。考えてみれば人類はそもそもアフリカから出て移動生活を続けてきた動物であり、日本人はその中でも最も長い距離をやってきた人々の末裔だ。移動が嫌いなわけがない。

最近は地方移住が盛り上がっているが、私はこの先には単一の場所への完全移住ではなく、移動し続けることで安定するというもうひとつのライフスタイルがやってくるのではないかと考えている。家を借りて拠点を構える多拠点居住でもいいし、あるいはゲストハウスやコワーキングなどを転々としながら仕事をし続けるというスタイルだってあるだろう。

移動生活の定着が新たな地方創生を生み出す

そういう将来を考えながら新しい地方創生を考えると、「移動生活者がつねに立ち寄り、滞在できる場」を確保するという取り組みもありうるのではないだろうか。「ときどきやってきて滞在し、仕事したり暮らしたりして、また去っていく人」という関係者人口をこういう取り組みで増やしていくのだ。

私が拠点をかまえている福井の家の近くに、とある素晴らしい海岸の村がある。昔から漁村として栄え、立派な瓦屋根と黒板塀の民家がずらりと立ち並んでいる。ここに一軒の豪壮な邸宅がある。建坪は200平方メートルぐらいありそうな母屋と、そこにつながる茶室。縁側の窓を開け放つと目の前は日本庭園。

実はこの邸宅が空き家になってしまっていて、現所有者が困っているという話を聞いたのは昨年のことだった。無料で手放してもいいという意向があり、これを新しいゲストハウスとして改装できないだろうかといろんな人と相談しているところだ。ただ完全にオープンな宿としてではなく、会員制にして数十人ぐらいで共同でリノベーションして、自分の荷物も常時置いておくことができ、気が向いたときにここにやってきては仕事をしたり釣りをしたり、三方五湖で遊んだりするコモンズ(共有物)にできないだろうかとも思っている。

考えてみればこれは、新しい別荘のようなものかもしれない。いや、別荘というとあまりにも金持ちっぽいから、ソ連時代のロシアで一般市民向けに供給されていた郊外のダーチャ(菜園付きセカンドハウス)のようなものをイメージしたほうがいいかもしれない。こういう場所があちこちに広がっていけば、安価にだれもが移動生活をできるようになるのではないだろうか。そんなことを考えている。

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