地方移住を支える「お裾分け」。月額1万円以上を2割が体験

家に帰ると玄関先にとれたてのきゅうりが置かれていたり、アパートのドアノブにトマトが袋に入れて掛けてあったりするシーンを、地方で暮らすイメージに抱いている方も多いのではないでしょうか。

実際、お裾分け文化を地域の魅力として語る方も少なくありません。筆者も、近所の農家さんと仲良くなり、収穫帰りにたまたま出会ったりすると、「持ってかえり」と、野菜をいただいたことがあります。

地方移住におけるお裾分けの魅力とはどのようなものなのでしょうか。

地方移住で平均年収は1割減少

総務省「家計調査」によると、平均年収は大都市644万円に対して、小都市は571万円と、約1割少ない傾向にあります。

しかし生活の満足度が低いかといえばそういうことはなく、例えば、新鮮で豊富な素材がとれるから食事はおいしいし、広い家に住めるし、職場まで近いからゆっくり寝られるし、インターネットも混み合っていなくて快適に使える。

というように、「食事」、「居住環境」、「睡眠時間」、「ブロードバンド環境」などの満足度が高くなっています。

一方で、「収入」や「経済的なゆとり」に関しては、やや不満も含めると、ネガティブな評価が下されています。

移住による収入や可処分所得の改善は低い

地方移住者に対するアンケートによると、地方移住前後を比較すると、収入は変わらない、または減少したという割合が約76%にのぼります。内訳は38.9%は変わらず、36.6%が減少したとなっています。

よく物価のやすさを引き合いに出し、可処分所得は変わらないという指摘もありますが、調査によると、45.7%が移住前後で変わらないと答え、26.8%が減少したと回答しています。

地方移住は経済的な優位性はなさそう

つまりこの結果を見ると、小規模都市の居住者や地方移住者に経済的な面で優位性がないことがわかります。しかし同時に、金銭化されていない魅力があることも事実でしょう。

地域の魅力として語られる「自給自足・お裾分け」

地域の魅力として語られ、そして間接的に金銭的な生活コストに影響を与えているのが自給自足やお裾分けだといえるでしょう。

小規模都市の居住者を対象に実施された調査で、自給自足やお裾分けを体験したことがある人の割合は、おおよそ70%以上にのぼり、当たり前に実施されていることがわかります。

月額1万円以上相当の割合が20%

自給自足やお裾分けのものを、仮に月額換算するといくらになるのかという試算で、月額1万円以上相当になるというのが全体の約2割となっています。

中には、価値換算できないほどのお裾分けもあるようで、筆者の知り合いは、近所のおばあちゃんと仲良くなり、3年間味噌をもらい続けているそうです。

しかも、「そろそろ切れたやろう」と定期的に補充されるそうで、味噌にまったく困らないと語っていました。

お金に換算できない価値もある

このおばあちゃんとのエピソードのように、お裾分けにはもののやりとりだけでない魅力もあるでしょう。

それは人とのコミュニケーションであるし、いただくという体験ではないでしょうか。お裾分けによって仲良くなり、高齢者と若者が交流するという事例もあるようです。

家計が助かるだけでなく、地方だからこそのつながりや、コミュニティへの参加のきっかけにもなるであろうお裾分け。魅力ある文化だといえるでしょう。

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