世界最高賞を授賞した「直島ホール」。建築が促す、暮らしの活かし方

2017年、直島を訪れる理由が、ひとつ増えました。

直島は、アートの島と知られ、2016年に島に訪れた人数は70万人以上。外国人の方が1度は訪れてみたいとたずねる島です。

高松港から、美しい瀬戸内海を眺めながらフェリーに揺られて、約50分。直島の玄関口、宮浦港に到着します。

変化を続ける直島の新しい建築「直島ホール」

後ろから見ると、半分埋まったように見える

直島の中心地である本村地区に、2015年11月に竣工した新しい建築が、直島ホールです。

本村地区といえば、空き家を改修しアートプロジェクトを行なう「家プロジェクト」で有名な地域でもあるので、訪れたことがある方も多いかもしれません。

そんな本村地区に、新しい建築としてできあがった直島ホールは、ホール、集会所、庭園から成る、直島町の多目的施設です。

設計は、建築家の三分一博志さん。いま世界で最も注目されている日本人建築家のひとりです。

この建物の特徴は、「環境のまち・直島」を建物そのもので表現していること。中でも驚異的なのが、太陽光・風・地下水等の自然エネルギーを積極的に活用した建築になっていることです。

Wallpaper Design Awards 2017で最高賞授賞

外観とは異なり、内部はどこか生き物を思わせるような広い空間が広がる

なぜこの直島ホールが注目されているのかというと、雑誌・Wallpaper*が主催するDesign Awards 2017のBest new public building部門にて最高賞を受賞したから。

Wallpaper*は、1996年イギリスで創刊された雑誌で、世界各国のデザイン、建築、ファッションの流行や観光情報を紹介する月刊誌です。世界93ヵ国で販売されており発行部数約10万部。

中でもDesign Awardsは、毎年大きな注目を集める特集でもあります。直島ホールは、国内の公共建築として初めての栄冠に輝きました。

直島ホールは、ぜひガイドの方と一緒に見るのがおすすめです。なぜなら、2度驚くことができるから。

まず本村地区を抜け、町役場のほど近くにぬけると、ひときわ大きな建物として直島ホールが目に入ります。まず驚くのはその大きさと、懐かしさと先進性が共存したような造形。日本建築っぽい佇まいのまま屋根を眺めていくと、どこか宇宙船のような、少し工学ちっくな屋根がくっついています。

手入れが行き届いた庭とあいまって、美しさにみとれて、立ちすくんでしまいます。

そして説明を聞いて、2度目の驚きを体験しましょう。

実はこの建物は、空調がなく、島に風が吹けば内部を風が循環し、気温調整するようになっているのだそう。あの特徴的な屋根は、風を効率よく取り込むための仕組みなのです。

文化と歴史から建築をつくる

直島ホールを眺めたときに感じる、なんだろうこの、少し懐かしい感じは。

それはもしかしたら、この土地の記憶かもしれません。

三分一さんの建築は、土地の環境特性を読み取り、それを設計に活かすことに最大の特徴があります。今回のプロジェクトでも、約2年版にわたり土地をフィールドワークを行なったそうです。

風の流れや、水路の設計、水脈等を調査する中で見えてきたのは、中世から脈々と受け継がれている、自然と共生した本村地区の暮らしでした。

この地区に家の並びは、風をうまく通し、暮らしやすい地域を形作っていることがわかったのだといいます。

そんな地域の記憶を、実験を繰り返し、検討しながらかたちにしたのが直島ホールというわけです。

これが直島ホールの、どこか懐かしい感じの原点なのかもしれません。

そこだけの暮らしこそ、最高の地域資源

直島ホールは現在、直島町民のイベントやスポーツなど、様々な用途に使われ、憩いの場になっているのだそうです。先祖が残した風の工夫や、今では利用が少なくなった井戸水の利活用などを通じて、直島の暮らしが現代に蘇ったといえます。

これこそ、これからの暮らし方のヒントなのではないか、と思うんです。

不便や不快を、技術によって克服してきたのが近代化ならば、そこで忘れられてしまったのは、自然との共生は、暮らしの工夫といった知恵だったかもしれません。

日本の風土は、北から南まで、大きく違う。それは特産品や産業にも現れています。しかし何より、暮らし方も、そこだけの地域資源といえないでしょうか。

昔に戻るとか、テクノロジーを捨てようという話ではなくて、その地域だからできる暮らし方を、どう今につなげていくのか。断絶させずに、アップデートして活かしていくことから、地域のらしさがうまれてくる可能性があることを、直島ホールは教えてくれます。

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