ゴロゴロゴロ。志賀直哉も愛した城崎温泉では、本棚も街歩きする?

オカダタクヤ


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兵庫県の北部、日本海沿岸に位置する城崎温泉。関西随一の温泉街と知られる町にやってきました。

ここは、「歴史と文学といで湯の町」としても知られ、多くの文豪が愛した温泉でもあります。

そんな温泉街で、何やら不思議なものを見つけました。

本棚に車輪が着いている

2台の動く本棚があるのがわかる

それがこの、ユニークなかたちをした車です。温かみある木の棚に、割りと大きめの車輪が付き、動かせるようになっています。

両側には本が並んで、何やらテーマが書いてあります。

そう、実はこれ本棚なんです。その名も「動く本棚」です。

本が町と人をつなぐ

普段はこの施設の1階に置かれている

動く本棚は、普段は城崎温泉街の奥にある、まちづくりの拠点のひとつとなっている施設「城崎国際アートセンター」の1階を定宿としています。

普段は、城崎のもうひとつの魅力である「アート」のことを伝えようと、関連書籍が並ぶライブラリーとして、訪れる人々を楽しませています。

まちへも繰り出す動く本棚

「動く本棚」のもうひとつの顔は、町へ繰り出すこと。温泉街のどこかに置かれ、観光客を楽しませているのだといいます。

ゆっくりとした穏やかな時間が流れる温泉街で、ふと立ち止まって、本を読みながらのんびりできるというわけです。

選書をおこなっているのは、ブック・ディレクター幅允孝氏(BACH)。様々な場面で、本を起点にコミュニケーションをつくっている達人です。

浴衣を着た観光客がぷらぷらとあるく街並みを、本たちもゴロゴロと移動し、出会いを待っています。

町と観光客のコミュニケーションの増やし方

「動く本棚」の魅力は、2つあるでしょう。ひとつは、文学の町として知られる城崎と、本というものとの相性の良さ。温泉街ということも相まって、町と観光客とのコミュニケーションツールとしての機能を果たしているといえます。

ただ温泉につかり、帰るのではなく、本を読むことで、城崎温泉で何か新しいこととの出会いが作れるのではないでしょうか。本を読めば、何かを考えるということにもつながるので、温泉と本で生み出す新しい体験ともなっていることでしょう。

本との出会いでまちのことを広く深く知る

次に、町のことを知ってもらえるということです。城崎温泉を訪れる人の多くは、歴史や街づくりに関心があるというよりは、温泉に惹かれて来ている方々が多いでしょう。

だからこそ、城崎が力を入れている「パフォーミングアーツ(舞台芸術)」だとか、志賀直哉を始めとする文豪と城崎の関係など、より広く深く城崎のことを知ってもらうために、偶然の本棚との出会いと、本を手に取れる機会を作ることは、単なる情報発信ではなく、そこにいるからこそできる伝え方になっていると思います。

そんな「動く本棚」に、どんな本が置かれているのか。ぜひ訪れて確かめてみてください。