増え続ける空き家。全国で820万戸。対策にのり出す国や地域商社の動きは?

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全国の商店街にも空き家が増えシャッター街とかしている(写真:宮崎県新富町)

全国で空き家を活用しようという動きが活発になっています。空き家は、「空き資源」のひとつに数えられ、地方創生のための有効な資源のひとつとされています。

まちづくりや新ビジネスの視点で、空き家や古民家の活用に関するニュースもよく目にします。

地方での空き家の現状と、ビジネスの可能性はどれほどのものがあるのでしょうか。

増え続ける空き家。全国で820万戸

空き家に関する統計情報を確認してみましょう。総務省が行なった「平成25年住宅・土地統計調査」によると、空き家の数は全国で820万戸、5年前に比べ63万戸増加しています(この調査は5年ごとに行われるため、現状の最新の調査にあたります)。

全国の総住宅数は6,063万戸であることから、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は、13.5%となり、20年前の調査に比べると0.4ポイント上昇し、空き家数・空き家率共に過去最高となっています。

ちなみにこの値には、別荘等の二次的住宅数41万戸が含まれており、二次的住宅を除く空き家率は12.8%となっています。

日本の住宅のうち、8軒に1軒が空き家

空き家というと地方で増加しているイメージがありますが、この統計が示すとおり、東京など都市圏も含めて、日本全体の課題として空き家問題は存在しています。

空き家を放置することは、衛生面や保安面で、深刻な地域課題を生む可能性が指摘されています。

例えば、老朽化による倒壊により近隣を巻き込んだり、ゴミ等が放置された状態では、悪臭や獣害を発生させたり、景観の悪化による不審者増加の可能性など、空き家がもたらすマイナス面は大きなものがあります。

ちなみに、このまま空き家の利活用がされない場合、2033年には2,147万戸が空き家になるという予測もあり、3軒に1軒が空き家という状況になりかねません。

つまり空き家問題は今や、国家的な問題とまでなっているといえます。

なぜ空き家は増えるのか?

悪い面ばかりの空き家ですが、なぜ増え続けているのでしょうか。

最も大きな理由は、人口減少と高齢化です。過疎化が進んだ地方では、住民の流出が止まらなくなった結果、空き家が増加します。一方で、人口の流出は多くない都市部でも、高齢化により老人ホームに入居したり、亡くなった結果、家が放置されるという状況があります。

さらに、当然ながら空き家を壊すためにも経費がかかるということも上げられます。また通常住宅のある土地は、更地に比べ、固定資産税が優遇されていることも空き家がそのままになることを助長しています。

つまり、空き家になったからといって家を壊し、更地にすると、撤去にお金がかかるだけでなく、固定資産税も増加してしまうのです。そこで、空き家をどうにかしたいけれど、放置が一番ましという状況を作り出してしまっています。

この現状に、国も対策に乗り出しています。

2014年5月26日に、「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家対策特別措置法)」が施行されています。この法律により、空き家が定義され、空き家の所有者は、空き家を適正に管理することが求められるようになりました。

また空き家が倒壊の危機にあったり、著しく周囲の環境を汚染している場合などは、「特定空き家」に指定され、自治体が所収者に対し、行政指導や、命令を出せるようになりました。

もし従わなければ、固定資産税の優遇措置も受けられなくなることから、一定の是正効果がある法律だといえます。

行政・民間で進む空き家対策

空き家は、もはや個人の問題ではなく、地域社会の問題であり、ひいては国全体の問題となっていることがわかります。

そこで、行政や民間それぞれが主導するかたちで、空き家対策や、有効活用が広がっています。

1つは、空き家バンク

空き家の所有者から物件情報を集め、インターネット上で情報提供し、利用希望者とのマッチングを図る仕組みです。

現在では、市町村の半数以上が開設しています。しかし、空き家のまま放置される物件である以上、立地など様々な面で不利なことが多く、十分に活用されているとはいえない状況です。

そこで、自治体によっては、改修費や家賃の補助など、何らかのインセンティブを設けて、活用を促しています。

120軒ある物件の内、約8割は契約済「尾道空き家再生プロジェクト」

尾道空き家再生プロジェクトのスクリーンショット

一方、民間の取り組みにおいては、空き家活用・再生によるまちづくりの成功事例も生まれ始めています。

代表的な事例が、「尾道空き家再生プロジェクト」。尾道の景観をかたちづくり民家ごと、未来に残そうという取り組みです。

高齢化が進む尾道に、移住者をつなぎ、空き家を再生させることで街並みを維持し、町に活気を取り戻しています。

現在では、120軒ある物件の内、約8割は契約済となっており、移住希望者に対して、物件が足りない状況になっているといいます。

2つ目は、地域の経済を動かす、地域商社の活躍

宮崎県新富町では、町の地域商社がリードし、商店街の景観を取り戻す活動が始まっています。

取り組んでいるのは、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(通称こゆ財団)です。こゆ財団は、拠点となっている新富町の商店街を、シャッター街から復活させようと奮闘。

自分たちの拠点となるワークスペースを商店街の空き店舗に移し、地域外からの訪問者を迎えています。

さらに、商店街を盛り上げようと朝市を定期的に開催し、人の流れを作っています。

その結果、シャッター通りだった商店街に、新しく学習塾が出店したり、元地域おこし協力隊の方が、飲食店をオープンするなど、少しずつ景観が回復しています。

このような空き家活用は、大手デベロッパーや不動産会社の手間とコストに見合わないため、小回りがきき、地域とのつながりもあるNPO法人や、地域に根ざしたベンチャー企業などにこそ、活躍が求められています。

空き家とまちづくりの可能性

空き家の売却や、リフォーム・建て替えなどを含めて、空き家の潜在市場規模は、9兆601億円にのぼるという推計もあります(リフォーム産業新聞社)。

この潜在市場に対し、現在行われている取り組みは少なすぎるといえるでしょう。増え続ける空き家と、利用希望者とのマッチングや、有効活用などにおいて、まだまだビジネスの機会が眠っているといえます。

また空き家をはじめとした空き資源の有効活用は、まちの人の流れを再編集する絶好の機会となります。

そのため必要なのは、個別に空き家を有効活用しようという視点ではなく、空き店舗や、空き家を含めて、まちづくりにどう組み込み、どのような人をどう集めるのか、どう動かすのかという、まちづくりの視点による活用です。

ただ空き家があるから活用しようというだけでは、この国家的な課題に対し、近視眼的な対策になってしまいかねません。

長期的なまちづくりの視点で、戦略的な活用を見込むことで、持続可能なビジネスの機会がうまれ、それが町の景観を維持していくことにもつながるはずです。

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