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まちづくりセンターを拠点とした地域まちづくり

まちづくりセンターを拠点とした地域まちづくり

    CATEGORY: AREA:北海道

札幌市では地域のまちづくり活動の拠点として「まちづくりセンター」を市内各所に配置しています。この「まちづくりセンター」は、実際のまちづくりにどのような役割を担い、効果を発揮しているのでしょうか。


「市民が主役のまちづくり」を実現するために

札幌市では、平成19年4月に自治基本条例を制定して、「市民が主役のまちづくり」の実現を目指しています。条例には次の3つをポイントとして

・市民と情報共有
・市政への市民参加
・身近な地域のまちづくりへの参加

この中で特に力を入れているのが、「身近な地域のまちづくりへの参加」です。この環境を整備するために「まちづくりセンター」を市内各地区に配置し、地域のまちづくり活動の拠点として位置づけました。

地域のことは地域に住む方々が一番よく知っていて、地域の中で話し合い、悩み、話し合い、課題解決していくのが住民中心の地域づくりです。この活動を促進し、参加し易い環境を作っていくのは「行政の責任」として捉えたのです。

自治基本条例第28条にも「市は、まちづくりセンターを拠点として、地域住民との協働により、地域の特性を踏まえたまちづくりを進めるものとする。」と規定しています。

自治基本条例の実践の場としての「まちづくりセンター」

〇概要
まちづくりセンターは現在市内に87ヶ所あり、人員構成は所長+嘱託2名=計3名が基本となっていて、職員の赴任期間は2年が基本となっています。

〇機能イメージ
まちづくりセンターの機能をみていきましょう。その機能は大きく次の3つがあります。
・市役所の仕事や地域の出来事・イベントなどのお知らせ
・地域ネットワークのつながりを創出すること
・地域まちづくり活動をバックアップ

従来の市役所の連絡機関として、市の情報の伝達、住民意見の集約、行政サービスといった基本的な機能に加え、連合町内会が核となった「まちづくり協議会」を設置する等の地域ネットワークのつながりを創出し、地域活動、町内会、NPOなどが行う「まちづくり活動」の連携・コーディネートを推進し、地域まちづくり活動をバックアップする機能をまちづくりセンターに持たせています。

地域の自主運営を促すまちづくりセンターの取り組み
まちづくりセンターでは、地域のまちづくり活動をバックアップする体制を整備しています。
〇元気なまちづくり支援事業

地域の創意工夫によるまちづくりを財政的に支援する仕組みを整えています。

平成22年度予算40,000千円をまちづくりセンター数に応じて配分し、各まちづくりセンターで約100万程度の予算によって、地域住民が主体となったまちづくり活動を支援している。区やまちづくりセンターに裁量権が委ねられていて、より地域に密着した効果の高いまちづくり活動に支援することができ、その活動事例も平成16年の開始当初94事例であったものが、平成22年度には795事例にも達しています。

〇まちづくりセンターの地域自主運営化の取り組み
活動主体と活動ビジョンがある地域の発意により、まちづくりセンターの運営を委ねる取組みを実施しています。

地域を知っている住民による創意工夫を図ったまちづくりを促進し、地域人材への活躍の場の提供することがその目的で、平成22 年6月末現在7ヶ所で自主運営を実施しています。年間700万で業務を委託し、活動ビジョンに対する活動助成金約200万円を交付しています。

この取組は、地域活動の事務局的な役割を地域が担っていきたいというニーズの必要性が高まってきことから始まったもので、今後も増えていくものと思われます。

「つなぐ」ことがますます重要な役割に

まちづくりセンターの今後課題として挙げられるのが、地域と市役所をどれだけつなげることができるか、という点です。

例えば、まちづくりセンターでその地域と一番向き合っているのは所長だけであり、また自主運営していれば市の職員はいないことになってしまいます。

このように市民自治が進むことにより、かえって市民と行政の間に溝が発生することも考えられます。

組織として地域の課題と向き合い、支援や対応する体制を作っていくことが行政として重要な課題であり、行政内のつながりや連携をどう保っていけるのかを今後検討しなければいけない課題であると思われます。

札幌市でもこの点を意識しており、市民と市役所の職員が交流するような場を多く創出することを心がけているそうです。例えば交通安全教室のような、市民との交流の機会である出前講座を多く実施することなどに努めたりしています。

防災・防犯、子育て、高齢者福祉等地域課題の拡大や、コミュ二ティ内での交流に希薄化等の多くの課題が今後でてくるものと思われます。そのなかで、市民と行政の間にあるまちづくりセンターが担う「つなぐ」役割は益々重要になるでしょう。