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ヒントは500×0.2?ものづくりは、日本を支えるのだろうか?新潟大学地域共同研究センター小浦方格准教授

ヒントは500×0.2?ものづくりは、日本を支えるのだろうか?新潟大学地域共同研究センター小浦方格准教授

    CATEGORY: AREA:新潟県

「『500×0.2』『0.5×0.17』、この数が意味するものは何でしょう?」という新潟大学地域共同研究センター小浦方格准教授の問いかけ。「ものづくりニッポン」「ものづくりで地域活性化」などが声高に叫ばれることが多いなか、本当にものづくりは地域活性化につながるのでしょうか。

いまさらものづくり?

「『500×0.2』『0.5×0.17』、この数が意味するものは何でしょう?」
その答えは、
・「500×0.2」=日本のGDPおよそ500兆円×第二次産業が占める割合20%
・「0.5×0.17」=日本の就業者の割合50%×第二次産業就業者17%
になります。非常に規模としては小さく、ここで「ものづくりが大切」「ものづくりが日本を支える」といっても本当にものづくりが日本の経済や地域が活性化の刺激となるのでしょうか。

「地域」を「活性化する」という意味は?

「地域を活性化する」ということは、それぞれの定義をもう一度はっきりさせる必要があります。

【地 域】
 ・基礎自治体、自治会、生活圏
 ・都道府県(広域自治体)、地域ブロック

【活性化】
 ・雇用増加+収入増加
 ・企業、学校、行政機関等の誘致・新規創設
 ・外来者増加+経済波及効果

といった、様々な要素が含まれています。「地域活性化をする」ためには、まずその「地域」を特定して、その地域を分析することから始めることが必要となってきます。そうすることで、その地域を活性化する「ポイント」が見えてくるのです。

 先ほど第二次産業の就業者が日本全体で捉えると非常に小規模であることがわかりましたが、燕市や三条市に目を向けると、その就業者比率は40%を超えるのです。その意味で、燕三条地区の地域活性化は「ものづくり」であったのです。
なので、どの地域でも「ものづくり」が地域活性化につながるわけではないのです。それぞれの「地域活性化」とは何なのか、課題は何なのか、を明確にすることが必要なのではないでしょうか。

具体的方法の一つ:SWOT分析

 地域を分析する具体的方法のひとつとして、「SWOT分析」というのが挙げられます。これは、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人の、プロジェクトを評価するために用いられる戦略計画ツールの一つです。

詳しい方法については割愛しますが、その地域での「強み (Strengths)」、「弱み (Weaknesses)」、「機会 (Opportunities)」、「脅威 (Threats) 」を思いつくままに挙げ、強みをさらに伸ばして目標をどのように達成するか、弱みはどう克服するか、機会を利用してどう伸ばしていくか、脅威をどのようにして回避するか、など一つ一つ探っていくことで、目標に向かう具体的な行動を明らかにしていきます。

こうした戦略的な分析ツールを採り入れることも、地域活性化にとって有効な手段といえるのではないでしょうか。