2040年までに、日本の地方都市の多くが、その機能を維持できなくなるという予測データがある。いわゆる地方だけでなく、首都圏においても、消滅可能性都市として位置付けられている自治体がある。
例えば、茨城県。その県北エリアにある、日立市・常陸太田市・高萩市・北茨城市・常陸大宮市・大子町は、そのような厳しい状況にあると言われている。
そのような人口減少に伴う地域経済の衰退に悩む地方が、活性化を実現するために注目する、訪日外国人観光客。茨城県北エリアで、TAXIによる酒蔵めぐりでインバウンド誘客を実現しようとしている細金寛子さんにお話を伺った。
酒蔵巡りでインバウンド誘客
細金さんが取り組んでいるビジネスが、茨城県北エリアの酒蔵をタクシーで巡る旅を提供する「SAKE TAXI」というサービスだ。
常陸太田市・常陸大宮市・日立市・大子町︎・北茨城市・高萩市を中心に、駅から遠く車での移動を要する酒蔵をTAXIに乗って巡りながら、地域の歴史・文化・食を満喫することで、地域の魅力を発信する取り組みだ。
将来的には、県外・海外へ向けた県北地酒普及のための 企画・コンサルティングも行う。
人口減少する故郷へUターン
細金さんは、東京・海外で働いた後にUターンをした際、衰退する故郷の現状を目の前にし、地元である茨城のために何かできることはないかと考えたという。
茨城県北では、年間で4800人もの人口が減少していて、1人あたりの年間消費額を124万円として試算すると、その損失額は約60億円。この損失に対して、プラスを出すために、インバウンドに注目しました。
自分の大好きな地酒とこれまでの経験を組み合わせて、訪日外国人向けサービスを提供することで、地域の魅力を伝えようと決めました。
地元企業・酒蔵と共にチャレンジ
細金さんは、2017年11月に、地元にいる数名で最初のテストを行った。2018年には、都内でターゲットとなる人たちを対象に茨城県北の地酒の魅力を味わってもらうイベントを開催して、サービスについてのヒアリングをした。
2018年5月には、8名のお客様を対象に「SAKE TAXI」を提供し、茨城県北エリアの酒蔵さんを巡った。その後は、提携先の営業や東京でのチャネル開拓、資格の取得や法律相談などに時間を割いているという。
収入確保と起業への道のり
現在、細金さんは通常の働き方をしながら、起業の準備を進めている。平日は会社に勤め、週末に事業準備をしている。少しずつサービスを前に進める中で、様々な壁に直面しているという。
テスト・マーケティングや販路開拓を進めながら、きちんと収入が得られる稼げるビジネスにしようとしています。
ただ、週末だけではスピードに限界がある中で、周囲からの期待と自分のペースのバランスに葛藤を感じることもあります。また、実際にサービスを進める中で、法律的な縛りに直面することもあります。
仕組みづくりと他者との連携
細金さんは、そのような課題と向き合い、解決するための仕組みづくりに取り組んでいる。
やはり1人でも限界がありますし、地元企業との連携の中で、今後の海外展開を考えた際に、ものすごくアナログ対応から脱却する必要があると考えて、システム会社に相談しながら、ITを活用した仕組みづくりに取り組んでいます。
また、そのような専門家への相談とシステム開発と並行して、お客様・タクシー会社・酒蔵をアレンジできる人財の確保にも動いています。
地方でチャレンジする
細金さんは、先日行われた茨城県北のイベントで、参加者に次のようなメッセージを伝えてくれた。
“No. Try not. Do or do not. There is no try.”
自分を信じない者に努力する資格はない。
地方での起業は、決して容易なことではない。しかし、チャレンジする価値はある。茨城県北には、それを信じ、課題と向かいながら新たなチャレンジをする起業家人財が集まりつつある。
限定20名無料「茨城県北ローカルベンチャースクール」受講生募集
【受講申込:2018年8月22日(水)まで若干名・追加募集】
無料の全5回講座、豪華講師陣!細金さんも昨年度参加した、稼ぐビジネスをつくるための実践講座です。
「販路開拓 × ブランディング × マーケティング」とローカルベンチャーにとって大切なことを学び、いっしょにチャレンジし続ける仲間をつくり、稼ぐビジネスを生み出すためのプログラムがスタート!
「地方を元気にしたい」
「故郷を元気にしたい」
ぜひ、共に1歩を踏み出しましょう。