少子高齢化、財政難、全国的に進む地方の課題に自らリスクを背負って飛び込んだ公務員がいる。
観光協会を解散し、持続可能な地域づくりを目指した地域商社の設立を町長に提言。その財団をわずか1年で全国紙に掲載されるほどの躍進をとげた一般財団法人こゆ地域づくり推進機構、岡本啓二(宮崎県新富町役場より出向中)
飛び出す公務員という言葉があるが、岡本は文字通り、「飛び出した公務員」だ。
まだ、それほどメディアで取り上げられているわけではないが、今、僕と一緒に「世界一チャレンジしたい街をつくる」という途方もない夢に一緒に向かってくれている。
この岡本の動きが、評価され「フォーブズ2018年6月号(2018/4/25発売)「地域経済圏」の救世主」の一人として紹介された。紙面上は小さいが、彼の行動の本質は、全国のその他自治体の飛び出したい公務員の参考になるかもしれないので、一度、彼のひととなりを書いてみたいと思う。
宮崎県生まれ、宮崎県育ち。宮崎県を出たことがない。
岡本は、初対面の人にいつもこう挨拶をする。本人いわく受けるとおもっているようだが、実際は、そうでもない笑
ただ、一見卑下してるように思えるこの会話も、実は、自分の生まれ育った街に誇りとプライドをもっている(もちたいと思っている)んだろうと思ったりもしている。
ちなみに知事には、緊張して言えなかったようだ。
飛び出した公務員を突き動かした危機感とは?
地方公共団体の財政は、全国的に危機的な状況に陥っている。
そもそもこの国の税制の仕組み次第が一度中央に集まる形になっているので、地方財政という言葉のあり方や定義自体も難しいのだが、全国でも、地元の財政を確認して、危機感を感じている人は、少なくないはずだ。
岡本もその一人。何も言わず、静かに役場で与えられた仕事をする選択もあるが、彼は、リスクを背負って、地域商社の設立を提言した。また自分も覚悟を決めて役場を飛び出したのだ。
持続可能な地域を作るための、地域商社
僕は、地方で、ソーシャルビジネスを作る時に大切にしている問は、「持続可能であるか?」だ。
先日の阿波踊りの会社が破産した事例をみても、どんなに人があつまって地元が盛り上がっているようにみえるイベントでも持続可能でなければ、残念な結果に陥ってしまう。
持続可能でなければ、そこで諦めることはない。
持続可能になるように動き出せばいいのだ。そういう願いを、岡本が町長らに提言し、思いをこめてつくられた地域商社が一般財団法人こゆ地域づくり推進機構、通称こゆ財団だ。
地域商社こゆ財団ってなんだ?
地域商社こゆ財団は、前述したとおり、地域の資源を活かした特産品を販売する地域商社で、その利益を農家や起業家の育成などに投資していることが特徴だ。
ふるさと納税も2倍以上に。起業家、移住者が増加
このこゆ財団の活動は、数字(KPI)と結果(KGI)にあらわれた。財団が運営を委託されている、ふるさと納税は、2倍以上の9億3000万に増加。地元経済に貢献した。
またその委託費用(ふるさと納税の運営費として総額寄付金の6%*ただし人件費広告宣伝費などを含む)活用して、新規就農者や移住者の増加に貢献することができた。
ふるさと納税を活かして、地元の農家や事業者は、確実に売上が上がった。さらに、こゆ財団は、そのノウハウを活かして、どんどん還元していきたいと意気込み。
飛び出した公務員は、地元を愛しすぎた公務員
結果として、フォーブズ誌に掲載されることになったのだが、実際に岡本に聞いてみると「よーわからん」という返答が返っってきた。
加えて、「地元がもっとよくなるといいですね。」と
初対面の挨拶から、メディアという出口まで、地元宮崎県新富町のことをみている、岡本らしい回答だなぁと思った。
行動原理は 地元ファースト。とにかく街を良くしたい。
様々なまちづくり事業を実施する岡本の行動原理は 常に地元ファーストである
「とにかく街を良くしたい。」
そんなシンプルな強い思いがあるからこそ、がむしゃらにやりきる事ができるのだ。GRIT力。
やる切るために飛び出した岡本。本当に本当に地域を愛しているからこそ飛び出した公務員。それをサポートする宮崎県新富町は、少しずつだけど進化してきている。
この岡本とこゆ財団の素晴らしいメンバー達と一緒にその変化を楽しみながら、まだ見ぬ「世界一チャレンジしやすい街」という未来を見に行きたい。