PR for 地域を編集する学校
宮崎県新富町で開催され、県内はもとより、関東からも参加者が集い、文字通り全国的な注目を集めている講座「地域を編集する学校」が活況です。
今回は舞台を大分県別府市に移し、実践的なフィールドワークから「編集」を学ぶプログラムが行われました。
先入観に捉われないリアル
『地域を編集する学校』を主催するのは宮崎県新富町の地域商社であるこゆ財団。なぜ新富町の商社が別府市を舞台にフィールドワークを行うのか、担当の高橋さんにお話をうかがいました。
別府という町自体が”温泉”のイメージがすごく強く、県外の人は特に別府と言えば温泉だよねというイメージを持っている。
これは実は宮崎も同じで、県外から見た時に例えば”宮崎=マンゴー”というイメージが大きな側面としてあります。
もちろんいい面もあるんですけど、そうではない価値を見出していこうとする時に、意外にこのイメージが邪魔になったりして、本来伝えたい別の価値が伝わらなかったりする。なので最初に新富町を舞台にするよりも、自分たちが一旦外に出てみて客観的にそれを感じられる場所に行ってみようと思ったんです。
今回は別府というわかりやすく温泉のイメージがついている町に入ることで、住んでいる皆さん、活動している皆さんの声を聞いて、温泉じゃない”何か”が発見できるんじゃないかと思って別府を舞台にしました。
インターネットの発達やWebメディアにより、簡単に情報が得られるようになったいま、現地に入り体感してみないと知り得ないことは多くあります。
また自身が発見し感じたことを言葉にして、編集することで先入観に捉われないリアルな地域情報が活きてくるのだと思います。
温泉以外の別府を知る
初日のプログラムでは、まず別府を知ること、現地で活動している方の話を聞くということで、別府市副市長の猪又さん、別府で薬剤師の派遣会社起業を目指す野中さんのお話から入りました。
別府市の概要を猪又さんより伺った上で、さらに深いとことの別府事情として、薬局の数に対して薬剤師が不足しているという現状があるということなど、この場に来て話を聞いて見ないとわからない別府の一面を垣間見ることができました。
参加者からも感想はもちろん、課題に対してのアイデアが飛び出すなど、話を通じて表面的ではない、中身に触れていく瞬間があり、こうしたことがきっかけとなり新たな町の魅力に触れていく一歩になっていくのだろうと思わせます。
チームビルディングも兼ねたフィールドワーク
今回のプログラムは個別で案件をこなしていくのではなく、チームを組んで取り組んでいるところも注目でしょう。
チームワークを大切にするために、「タグラグビー」という腰にタグベルトを巻き、タグを奪いながらトライを狙う初心者向けのラグビーが行われ、コミュニケーションをとっていきます。
限られたルールの中で名前を呼びあい、戦略を練ることでチームワーク形成が狙いだそう。
終わる頃には笑顔が溢れ、お互いを信頼したチームができあがっていました。そのいい雰囲気のまま、チームごとに町へ出てのフィールドワークがスタートしました。
「まずやってみる」からスタートする
このフィールドワークは、予め準備された施設団体に行き、インタビューしてくるというもの。
冒頭のオリエンテーションでは“誰に対して”“何を伝えるのか”を考えることが大事という話以外は伝えられず、いきなり現場に飛び込む受講生たち。
大体の参加者がはじめての取材ということもあり、どのように進めていいのか悩む姿も見られます。
もちろんこれも意図したことで、まずはやってみて感じたことから成長していくことが大切と考えられているからこそのプログラムなのだそうです。
チームで取材するからこそ、深掘りできる
最初は取材対象者の話を一方的に聞き入って頷くだけであったチームもありましたが、徐々に話の中に入っていき、自分から積極的に質問や落とし所を探っていく様子がみられるようになっていきます。
一人が質問するとそこから次々に質問があがり、話題が深くなっていく。ここでタグラグビーで培われたチームワークが発揮されて、自分にはない視点で話を聞き出すことで、より密度のある取材が行われていました。
フィールドワークを終え戻ってきた参加者にお話を伺うと、
この会で集まるのは2回目で私は大分県出身なんですけど、班の人と仲良くなりつつ、新しく別府の魅力をいろいろな視点で見つけることができたのでよかったです。
今日取材した『自立支援センターおおいた』は存在すら知らなかったので、率直に取材・編集スキルだけでなく勉強になったなと思いました。
取材体験の感想でいうと、これから要点をまとめ整理していくことになるんですけど、後でこういったことも聞いておけばよかったなどの反省が出てくると思います。そういった反省を活かし次はしっかり取材できればいいなと思いました
実践から学びを得ている様子が伝わってきます。
「編集」には何が必要なのか、単に教えられるだけでなく、失敗も繰り返しながら習得していくことで、他には真似のできない編集スキルが磨かれていくのでしょう。
別府のいろいろな面を発見し、編集する
後に今回のプログラムを一緒につくった、創業支援を行っている宮井さんより、別府についてお話がありました。
昔、別府は湯治場で傷を癒す場所だった。その関係でいろんな移住者の方も多くて、その中に海外の方も障がいを持つ方も多くいました。
でもそれが普通で自然体なんです。老舗のお店とかがなくなりつつあって、変わっていくのも別府です。そんないろいろな面の別府を今回のプログラムを通じて好きになってほしいと思っています
“別府=温泉”というイメージがそれぞれの「編集」という技術によって、いい意味で薄れ、別の魅力が見え始めた初日のプログラム。
後編では、初日の経験を活かしたフィールドワークの様子をお伝えしていきます。