近年、日本酒に世界からの注目が集まっていることをご存知ですか。
ソムリエの試験に導入されたり、日本酒が振る舞われる飲食店が増えるなど、日本酒を嗜む人も増えているといいます。
このような背景のもと、「食のイノベーション」を掲げるコワーキングスペースSENQ京橋で、 「日本酒INNOVATION Series01 」というイベントが開催されました。
「新しい日本酒の文化・ビジネスを考えてみよう」というのが内容です。
知られざる「酒粕」の種類とできるまで
ゲストに、愛媛の「千代の亀酒造」、東京の「勝鬨酒販」、福島の「峰の雪酒造」という、日本酒の専門家を招き、「知られざる日本酒の魅力」と題し、酒粕と酒米に注目し、日本酒の食べ方、飲み方に迫ります。
意外に知られていないのが、日本酒の作り方や、種類。
「もろみをこすから日本酒になります。こさなければどぶろくなんです」と、製造工程に沿って、勝鬨酒販の堀口潤一さんが語ると、時折会場からは「おおー、知らなかった」という声が聞かれます。
当たり前のように飲んでいる「甘酒」にも、実はどのように作るかで二種類あり、試飲でも「確かに味が違う」と参加者からも驚きの声が上がります。
お米によって、日本酒は変わる!

熱弁する千代の亀酒造の岡田将太朗さん
お酒を嗜む人であれば、「お米でお酒の味が変わる」ということは常識かもしれません。しかし実際に、お米の違いだけでどのような変化があるのかを体験できる機会はほとんどないもの。
今回のイベントでは、お米は別ですが、作り方は全て同じというお酒のききくらべも実現。
提供されたのは、酒造好適米と呼ばれる日本酒用のお米3種類。
酒米の王「山田錦」、酒米のルーツ「雄町」、幻の酒米「愛山」です。
「お米だけで、こんなに味も印象も変わるとは思わなかった」と、思わずききくらべに回数を重ねてしまいます。
「お米によって全く異なります。水の吸い方や硬さが、すべて味に影響するんです。使うお米にファンがついていたりもしますね」と、ゲストも語ります。
試食しながら、日本酒ビジネスを考えよう

試食では多くの日本酒を使った料理が提供されます
後半では、日本酒や酒粕を用いた料理が振る舞われ、参加者同士で新しい日本酒ビジネスについてのディスカッションも実施。
実は酒粕は、酒造メーカーにとっての課題となっているそうで、「全てに活用できる先があるわけではない」と言い、最終的には処分してしまうこともあるのだそうです。
一方で、酒粕には豊富な栄養素があることもわかっており、有効活用するにはうってつけの素材というわけです。
会場からは、「ワイン豚のように家畜のエサにしてブランド化」や「化粧品など、食品ではない活用の仕方があるのではないか」といった意見と共に、活発なディスカッションが行われました。
食に眠るイノベーションの機会
身近であるが故に、知られざる魅力はたくさんある「日本酒」。
日本酒以外にも、「食」に関する分野は、身近なのが当たり前だからこそ、視点を変えることで新しい価値や発想が生まれるきっかけになるかもしれません。
食を学び合える場として、今後のイベント開催情報にも注目です。