震災を乗り越え、地域を元気に
宮城県の中央に位置し、太平洋岸の漁港を中心とする港町・塩竈市。人口に対して日本で最も寿司屋の多い場所で、日本一の寿司屋激戦区とも言える地域だ。
そんな塩竈市で、地域に根ざして70年。文具・オフィス家具・事務機器・ネットワークセキュリティサービスを取り扱う企業がある。
震災が変えた事業承継への決意
今回訪れたのは、株式会社高山。昭和21年に創業された祖父の想いを受け継ぎ、奮闘する高山智壮さんにお話を伺った。
祖父、祖母、そして、現在代表取締役を務める父(高山宏敏さん)と、代々経営されている企業で、高山さんは4代目となる後継者だ。
大学卒業後、銀行員として働いている時、東日本大震災が起こった。当時、高山さんは、金融の世界で生きていこうと考え、銀行員からベンチャーキャピタリストへの道を模索していた。
しかし、震災後の状況を見て、「自分は本当にそれで良いのか?」と疑問を持ち始めたという。
1本のビデオテープと創業者の想い
震災後、実家に戻って見た現実に高山さんは衝撃を受けた。
会社の建物は、大規模半壊。お腹ぐらいの高さまで水が押し寄せ、会社にあった商品の半分が駄目になってしまったという。
そのような状態の中、偶然に1本のビデオテープが残っていた。
そこには、創業者である祖父が高山さんを抱きかかえながら、「絶対に、この子に自分の後を継がせるんだぞ。」と言っている様子が映っていたそうだ。その映像を見て、高山さんの心は大きく揺れた。
志と事業承継の決意
その後、高山さんは経営学を通じて自分自身の能力と志を高めるため、東京でグロービス経営大学院に通い、MBAを取得。
そして、創業者からの意思を受け継ぎ、家業を継ぐことを決意した。
現在、地元に戻って3年が経とうとしている。
圧倒的な地域ナンバーワンを目指す
高山さんは、創業100年を見据え、圧倒的な地域ナンバーワン企業を目指している。
その中で、お客様にとって必要なことを追求し、地域の中小企業が抱えるサイバーセキュリティという経営課題に取り組まれている。
「お客様が困った時に、お客様のお役に立てる存在であり続けたい。全ての人が物心両面で幸福になっていく、お客様満足・会社繁栄・社員幸福という『三方良し』を目指しています。」と、高山さんは伝えてくれた。
企業の資産がデータ化していく中で、これまでお客様のハード面を中心に守ってきた会社として、お客様のソフト面も守っていきたいと考えている。