埼玉ディスマンガ『翔んで埼玉』が55万部を突破したそうです。
「埼玉から東京に行くには通行手形がいる!」「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」「埼玉狩りだー!」といった埼玉をネタにした台詞を覚えている方も多いのではないでしょうか。
驚くことに、売上の3割を埼玉県が占めているといいます。
「悪名は無名に勝る」その通り!
このマンガは実は、埼玉県の各市長からのコメントを集めています。
その内容をのぞいてみると、「所沢の宣伝をしていただき、苦笑しながら感謝しています」(所沢市長 藤本正人氏)、「この勢いにのって、全国各地に埼玉の魅力をどんどんPRしていきたいですね」(行田市長 工藤正司氏)、「大変注目されていることがうかがえます」(飯能市長 大久保勝氏)
気付きましたか?
誰も怒っていないのです。
埼玉を馬鹿にしているとも言える内容にも関わらず、好印象。
極めつけは、埼玉県知事上田清司氏のコメントです。
「悪名は無名に勝る。」
そう、まさにその通りなのです。
どんな形であれ、「埼玉県」の名が確実に広まっているといえるのですから。
愛があるから自虐ができる
これらのコメントを見てみると、「自虐」というキーワードが浮かんできます。
実は、最近の県などの自治体のプロモーションにおいて、「自虐」はメジャーな方法になってきているともいえます。
「地域自慢」ではなく、マイナスなポイントを逆手に取ったといえる「自虐」アプローチの事例をみてみましょう。
覚えている方が多そうなのは、広島県の「おしい!広島県」や、島根県の「日本で47番目に有名な県。負けるな!島根県。」ではないでしょうか。
広島県は、タレントの有吉さんを活用し毒舌満載の自虐プロモーションが展開しましたし、島根県の方は「秘密結社 鷹の爪」のキャラクターたちが登場し、なかなか際どいキャッチコピーが連発されました。
これらの自虐アプローチは、ヤケになって展開されたものでしょうか。
違いますよね。
これらは逆にいえば、「この場所でしか言えないことをしっかり言っている」プロモーションですし、その奥には地域への愛があるといえます。
マイナス面を笑いつつ、「こんなところだけど、自慢のところだよ」と言うものでしょう。
そして何より、尖った表現である故に賛否両論を巻き起こしますし、ということは人々の心を動かしているといえるのです。
「地域プロモーション」に注目
地域発のプロモーションは、実に多様な展開を見せています。
マイナスを敢えて持ち出し笑い飛ばすもの、直球で暮らしやすさや、観光地を打ち出すものもあるでしょう。
しかしいずれの場合も、どうアプローチすれば効果的かを徹底的に考えられた上で打たれたものであることは間違いありません。
その奥にある想いを見つめてみるのも、ひとつの楽しみ方ではないでしょうか。
出典: prtimes.jp