「トラ男」、「シェアビレッジ」など、ここ数年の地域ビジネス界隈を賑わせるワードをご存知ですか。
これらのプロジェクトを手がけているのが、武田昌大さんです。
秋田の若手農家を支援するプロジェクト「トラ男」のプロデューサーとして、また改装した古民家をベースに新規移住を体験できる会員制の「シェアビレッジ」事業の運営者として活躍されています。
そんな武田さんと、宮崎県の特産品である飫肥杉の世界展開プロジェクトをはじめとして、全国の各地で地域ブランディングに関わるNPO法人まちづくりGIFTの斎藤潤一さんが対談を行いました。
テーマは、「地域で稼ぐ仕事を作るコツ」。
地域で稼ぐために、何から始めるか、どういう姿勢で続けるかなど、3つのコツが語られました。
地域の課題を”自分ごと”にする
斎藤:地域でがんばる「とっかかり」は何でしょうか。
武田:地域の課題を自分ごとにしないといけないと思います。
自分ごとになっていないと折れるし、やめることになるので、どれだけ自分と課題がリンクしているかが大事ですね。
斎藤:僕も飫肥杉プロジェクトでは、ハゲ山にするのはダメだ。どうにかしたいと思って方法を考えてました。
どうやったら自分ごとになるんでしょうね。
武田:体験することですね。
100人に話を聞くとか。見て、聞いて、体験して自分のことになると思います。
斎藤:話を聞くだけだと、わかっているけど理解していないになっちゃうので、体験するというのは大事ですね。
100人に聞いて、3人が残って仲間になる
武田:課題が見えてきたら、どう解決するかを考えていくだけです。
斎藤:人を巻き込む仕組みをつくらないといけないですね。トラ男の場合はどんなことを考えたんですか。
武田:トラ男は、農業の衰退というのがあって、流通が課題だと目をつけたんです。
ならば直販のかたちができないかなと思って。若手の農家と一緒にやろうと考えました。
斎藤:仲間はすぐに集まった?
武田:100人に話を聞いたり、言ったりしました。
2010年に、Facebookで米を売りましょうという話をして。そしたら3人残ってくれたんです。
その3人と一緒にやっています。
コツコツ継続するから、花開く
斎藤:やり続けるのは大事ですね
武田:続けながら、顧客のニーズを聞いて、商品を作って情報発信してということを続けていますね。
百貨店にはりついて、お米を買う人100人に、なんでその米を買ったのかとヒアリングをしたりました。
斎藤:買ってくれた人や、知ってくれた人に、徹底的に思いを話すのも大事ですよね。
武田:毎月イベントを開催したり、いいねが3000件を超えると全国ツアーをやってみたり、コツコツが大事だと思います。
お客さんを着実に増やしていくことですね。
地域で稼ぐためのコツ
斎藤:稼げていますか
武田:3年間は大変でしたが、5年目は前職の給料を上回りました。
斎藤:着実に継続していくことで、稼げるようになるということですね。まとめると、地域で稼ぐ仕事をつくるコツは、
1. 地域の課題を自分ごとにする
2. 仲間をつくる
3. コツコツ継続する
となると思います。
武田:人が巻き込まれる仕組みをつくっていくことですよね。
トラ男も、5年間は最初の3人の農家でやろうって言ってましたが、ここから農家を増やしていきたいと考えています。
同時に、生産者の顔が見える場をつくったりして、農家の声をお客さんに届けるだけでなく、お客さんの声を農家に届けるようにしていきます。
斎藤:地域で稼ぐということを言い続けていこうと思います。
今日はありがとうございました。
武田:ありがとうございました。
おわりに
2人の地域で仕事をつくり、稼ぐプロによる対談をお送りしました。
最後にまとめられた3つのコツで、地域がますます盛り上がることを願っています。
今回対談いただいた方
武田昌大さん
1985年秋田県北秋田市生まれ。
2008年立命館大学情報理工学部卒業後、東京のデジタルコンテンツ業界で仕事をする。
2011年8月株式会社kedama設立。
ふるさとである秋田の農業の未来に危機感を持ち、若手米農家集団トラ男(トラクターに乗る男前たちの略称)を結成。お米をつくる人と食べる人が共に支え合うコミュニティ「トラ男一家」を立ち上げ、お米の定期購入サービスを運営している。2015年春から古民家を活用した新プロジェクト「SHARE VILLAGE」を始動。新たな田舎つくりに取り組んでいる。
斎藤潤一さん
特定非営利活動法人まちづくりGIFT代表理事
宮崎スタートアップバレー 共同創業者 / 代表
米国シリコンバレーのITベンチャー企業のマーケティング責任者を務め、 帰国後は大手企業から官公庁、地域プロモーションで実績多数。 地方創生をテーマに、ガイアの夜明け、NHKの特集をはじめテレビや雑誌掲載、講演実績多数。 地域・自治体のプロジェクトプロデュースや、教育庁と連携した起業家育成に取り組む。 地域資源を活かした、雇用の創出・持続可能なまちづくりを使命に活動中。