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震災復興を加速させる「志」アントレプレナーシップ | 宮城県

震災復興を加速させる「志」アントレプレナーシップ | 宮城県

    CATEGORY:移住 AREA:宮城県

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「チャレンジスター」は志を持つ挑戦者に対し、資金面に限らずあらゆる課題をサポートするサイト。仙台にある「ココリン」は東北最大級のコワーキングスペースだ。
志の求心力で事業創造を行う「一般社団法人MAKOTO」の代表理事である竹井智宏さんにお話を伺った。

今こそ復興ファンドが必要

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2007年に東北イノベーションキャピタル株式会社に入社し、ベンチャー企業への投資や支援に携わってきました。自分のやりたいことと合っていて、会社で一緒にやっていこうと思っていましたが、震災を機に方向性の違いを感じました。

ベンチャーキャピタルという業態は地方ではほとんどなく、この地域の産業活性化に関しては大きな責任があると思い、震災後、すべき事を模索しました。

1年前の社内ミーティーングの時、被災地に投資する復興ファンドは絶対必要になる。会社として取り組むべきだと提案しましたが、当時の会社の方向性とはマッチしませんでした。そこで、自分が使命感を持ってやるべきだと思い、思い切って、個人的に動きました。

皆が幸せに生きる社会を作りたい

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その使命感の背景には私の妹が自殺したという経験があると思います。家族全員がすごく落ち込んで、不幸になっていく感じで、身近な人に不幸があると家族がどん底になっていくことを体験し、考えさせられる事がたくさんありました。

いま日本では自殺者が多く、生きにくい世の中になってきていると思います。ビジネスの移り変わりが早く、それについて行けなかったらだめという雰囲気になっています。

でも、皆がそれを出来るわけではないし、そのために精神的にも生きづらい世の中になっていくことは違う方向に進んでいると思います。

このままだと私自身、子孫、他の方も皆が幸せに生きる社会にならないので、その流れを変えなければならないと考えていたところ、震災がありました。被災地は、大きな被害のために経済的にかなり落ち込むことが予測されました。

お父さんが働けなくなって家庭に不安が生じ、そうした家庭を支えなければ不幸が起きるという連鎖が現実味を帯びてきたのです。

この状況をどうにかしなければならないし、幸せに生きられないこの社会を直すのは、まさに今しかないと思いました。会社の中でそれをしようとも考えましたが、最終的に自分でやるしかないと思って、2011年に退職しました。

地球環境の46億年というタイムスケールで考える

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最初に起業したいと思ったのは博士課程2年のときです。私は理学部でしたが、理系の研究分野は国から予算が下りるかどうかに左右されます。

それにより生活できるかどうかが決まってしまうので、自分で生きる力を付けたいと思いました。また、当時日本は不況で一家心中のような事件をテレビで見て、そのようなことが起こる事態をどうにかしたいと思いました。

実は、私は幼少期、環境問題が理由で、人類が好きではありませんでした。

しかし、次第に大人になり、皆苦労していることが分かってきたときから人類を許すようになったのです。

人間は環境破壊をしようと思っているわけではなく、自分の家庭を守ろうと頑張って仕事をし、経済活動の結果そういう事態になったにすぎない。決して、悪気があるわけではないことに気付いたのです。

地球環境の46億年というタイムスケールに比べると人間の一生はほんの一瞬です。限られた時間をどう使うかが重要で、せっかく生まれてきたのだから楽しく生きられる社会であればいいのにと思います。

そのために、世の中を良くしようとしている多くの挑戦者たちがより成功しやすい状況や仕組みを作りたいと思います。子育て、貧困、経済など色々な問題に取り組んでいる人を応援する仕組みが必要なのです。

被災地の起業家が東京でプレゼン

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私たちはお金だけではなく支援も集められるクラウドファンディングを作ろうとしています。12月から「チャレンジスター」というサイトを立ち上げました。

物品の譲渡や人の紹介など、挑戦者が必要としているのはお金だけではないのです。世の中のおかしいところを良くしようとしているのであれば応援する人は出てきます。その支援を広く浅く集めることをクラウドインキュベーションと呼んでいます。

挑戦者がどんなに優れた方でも個人では超えられない限界があります。しかし、世の中には様々な知識やネットワークを持った方がいます。であれば、、いろんな人の力を集めたほうがよいです。その仕組みを、インターネットが発展した社会では作り上げられるのではないかと思って取り組んでいます。

「チャレンジスター」は、サイトだけで完結せず、リアルなイベントとも連動させています。イベントとは、東京で「被災地の起業家が東京でプレゼンし、サポートしたい人に集まってもらうというものです。(2012年12月末)現在会員は84人ぐらいで、様々なニーズに合わせてマッチングしています。

「志」第一主義

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震災で、一番必要なものはアントレプレナーシップ(起業家精神)だと考えています。
日本には日本風のアントレプレナーシップがあり、志が求心力になると思います。志とは私利私欲ではなく世のため人のために体をはってやるぞというものです。単に高い目標を持っていることではなく、利他的な要素が必要です。

たとえばガンジーはインドで偉業を成し遂げましたが、なぜそれができたのか?

彼の志に共感して色々な人が手をさしのべ、小さな輪がだんだん大きくなり、ついにガンジー個人では成し遂げられないことを成し遂げる原動力になったのです。

今回の震災では、被災地各地でもまさに同じようなことが起きています。この志の力は、偉大だ。これが私が震災で発見した事です。そして、震災でもう一つ発見したことがあります。それは、日本人は通常リスクとらない安全志向ですが、震災のように危機的な状況になるとリスクとる人が出てくるということです。

震災後、被災地では、日本全国から人材が集まって来ています。この地域に横たわる大きな社会的問題に気づいた人が、現在の自分の仕事はそれに直結していないと思って会社を辞めて被災地に移住するのです。

これこそ日本が歴史的に何度も困難があって立ち直ったメカニズムです。そういう人たちを支援して次の新しい日本を作るしかないと思い、志を持った人を支援することを第一に考えています。

私たちの今の取組が、仮に上手くいかなかったとしても、どこかで稼いで充電し、次はやり方を変えてチャレンジしようと考えます。組織運営で悩んだりはしますが、好きなことだし、使命感を持ってやっています。

レアな存在になろう!

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今から働く人やチャレンジしたい人たちに伝えたいのは、「レアな存在になる」「逆を行く」ということです。大勢が行く方にはチャンスが少なく、競争が大変です。。

例えば、就職一つとってみても、就活サイトを使った求職活動はライバルが多く狭き門です。日本の企業の9割以上は中小企業で、就活サイトに載っていなくても、求人をしている会社はたくさんあります。そのような会社は、社長がいいよといえば入れる世界です。

ビジネスも同じで、みんなと同じ方向に行くのではなくオンリーワンになることを考えたほうがよいと思っています。失敗しても心配はいりません。後ろ向きでなく、前のめりに倒れるなら見ていてくれる人は必ずいます。

CHALLENGE STAR(チャレンジスター)
『CHALLENGE STAR(チャレンジスター)』は、困難に果敢に立ち向かい、『志』を持って事業を起こしている挑戦者の方々を、みんなで応援していく支援サイトです。