上勝町の横石知二さん「葉っぱビジネス」の舞台づくりで地域にいろどりを

「葉っぱビジネス」の立役者として数々のメディアに取り上げられてきた株式会社いろどりの横石知二さん。人口約2,000人徳島県上勝町に住む人々みなを元気にした「葉っぱビジネス」の肝から地域活性のヒントを探ります。

「限界集落」なんてない

徳島県上勝町に横石さんが赴任してきたのは今から30年余前のこと。当時、地理的条件もあり農業もあまり発達しておらず、地元の人々も自分達の暮らす地域に全く誇りを持っていなかったといいます。若い世代には「ここを出ること」を言い続け、互いの足の引っ張り合いを繰り返す、そして何かをやろうとしても出来ない理由ばかりを考える、そんな沈滞ムードが村全体を覆っていたそうです。

しかし、「よそもの」である横石さんは、「この上勝町にだって素敵なところはあるはずだ」という想いのもと、上勝町の農協職員として、様々なアイディアをひねり出して、農業振興に努めていたそうです。そのとき、地域の人々には繰り返し繰り返し「マイナスをプラスに考えなさい」ということを伝えたそうです。

「よく『限界集落』と言いますよね。でも『限界集落』と言われて誰が訪れたいと思いますか。」と横石さんは言います。地域にはそれぞれ全てに特色があるのです。条件的に不利であることはあるかもしれませんが、それを「限界集落」という言葉で片付けてはなりません。全ての地域がそれぞれにもつ良さや特色があり、それを活かすこと、を第一に考えなくてはならないのです。

葉っぱを売るきっかけは

上勝町でも何かいい産業がないものか、と考えていくなかで、ひとつの作戦が横石さんにはありました。「何もしないけどプライドの高い町の男たちはとかく奥さんに弱いところがある。女性達の心を掴む何かいいアイディアさえあればそれに引っ張られて男たちもきっと動くだろう」と。

そんなとき、ある料理屋で若い女性達が料理を彩る季節の葉っぱ(ツマモノ)を見て、その美しさや珍しさにワイワイと嬉しそうに語らっている姿に出会い、「こんな葉っぱ、上勝にいくらでもあるじゃないか。これを売ったら商売になるのでは」とひらめき、「おばあちゃんたちによるの葉っぱビジネス」をスタートさせようと思ったのです。

ここでも横石さんは、いつも町のことを観察し、何かないものか、と常に考えていたからこそアイディアが湧いてきたのです。プラスの思考が葉っぱビジネスを生んだといえるでしょう。

アイデアの実行には不断の努力

しかし、このアイディアも上勝に戻って説明してみても、「我々にもプライドがある。そこらにあるものを売って儲けるなんて恥ずかしい」という意見が大半で、なかなかうまく進みませんでした。

しかし、奥さんたちを説得して、なんとか葉っぱを袋詰めにして売るところまでこぎつけました。しかし一向に売れません。なぜなら、料亭側が「ツマモノ」を使う意図を全く理解できていなかったのです。「ツマモノ」を料理に添えるのはそれぞれに意味があり、それを理解せず、ただ単にある葉っぱを詰めただけでは全く売れるわけはなかったのです。

それに気づいた横石さんは、もっと「ツマモノ」のことを学ばなくてはならない、と思ったが、こうしたことは料亭にとっては門外不出。お客さんになって聞くしかありません。そこで、自費で料亭に通いづめ、朝は市場で営業、夜は料亭で勉強という日々を過ごすことになってのです。食べ過ぎで20キロ太り、痛風になり入院することもあったが、「ツマモノ」に対する理解を深め、本当に「欲しいツマモノ」を供給できるようにしていったのです。

人材を最大限活かすには

株式会社いろどりが成功するために、横石さんは「品質向上」や「営業努力」以上に注目していることが「人材」です。働く人それぞれがより活き活きとやる気をもって仕事ができる環境をつくりだしているのです。

「高齢者はいたわるのではない、いきいきする場をみつけてあげること」なんです。と横石さんは言います。その「活き活きする場」をつくりだすため、今までFAXなどで受けていた受注等をいち早く高齢の方でも簡単に使えるようなPCやシステムを導入して、インフラ・ソフト面の充実を図り、それによる「リアルタイム受発注」を実現することにしました。このシステムでは、自分がいくら稼いでいるかもわかり、また受注のランキングなどもわかることから、葉っぱを生産・収穫する女性たちの心に「隣には負けとうない!」とハートに火をつけ、互いの競争力が高まることになったのです。

「情報伝達の迅速化・見える化」といった、高齢者や山奥の集落には無縁なものと思われていたものを概念を、状況にあったようにカスタマイズして導入することで、人々の「やる気」を引き出していったのです。生産と出荷を担う地域や人材の特性にジャストフィットするような「システム」を導入することが大切なのです。

「舞台づくり」でいろどりを

株式会社いろどろりがここまで成功・発展してきた要因を横石さんは次のように振り返ります。

・自分のこととして考えさせること
例えば「地域活性の講演会」と謳ったとしても来る人は少ないが、「お米の値段が2倍になる方法」とすると来場者は増える。こうした自分に密接に係わるような意識を持たせることが重要なのです。

・個性を大切にする
組織を重んじるのではなく、自立を促すような方策をとること。これは株式会社いろどりでは、それぞれの農家さんがそれぞれがHPにアップされる受注画面見て、それを自らが受けて商品を用意しているというところに、やりがいを感じているというところに表れています。

・こつこつと積み上げる
なかなか大きなことやろうとすると足を引っ張られるし、失敗すると「やっぱり」と言われることが多かったといいます。とにかく地道にコツコツやることで、少しずつでも変化を継続していくことだと言います。

・人や商品が輝く舞台を用意する
それぞれの地域にはそれぞれのいろどりがあり、それを活かす力=舞台づくりが重要です。

この「葉っぱビジネス」の成功は勇気を与えてくれます。というのも、実は「どこでも地域を元気にできる」ということを証明しているからです。

「あるもの」を使って、それぞれが活躍できる「舞台」を整えることができれば、みんなが活き活き輝き出すことを、教えてくれています。

もちろんそこには「努力」と「挑戦」の姿勢を崩さない、旗振り役とそれを支えるフォロワーとう存在は欠かせません。ただ、それさえあれば、地方の活性化もできるということではないでしょうか。

PR for こゆ財団(宮崎県)
地方×求人:地域の未来を創る起業家10名・10事業を募集!
世界一チャレンジしやすいまち
宮崎に移住して、
地方の課題を解決する。
10のプロジェクトで、
10人の起業家を募集中!

関連記事一覧