地方移住、東北は過酷。対策と伝えたい東北の魅力

今、東京在住の約半数が、地方移住に関心も持っているという。

ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクが2017年6月に行った調査によると、「関心はあるが具体的には検討していない」(34.9%)、「現在検討している」(9.6%)、「すでに地方移住することを決めている」(4.0%)と「関心がある」人の合計が48.5%だった。

特に、この移住を検討中・決定している15%にアプローチしようと、各地方自治体の移住促進合戦が加速している。

移住希望者はどこへ行く?

都内では、そのような自治体による移住定住促進を目的としたイベントが乱立し、集客にかなり苦戦している。

最近は、その地域で暮らす「人としごと」をメインとしたイベントが多く、地域の魅力を伝える上で効果を出しているように思う。私がお手伝いしたイベントでも、参加者の数名が移住・しごと体験の実施に至っている。

とは言え、実際に地方で暮らすとなると、地域によって生活する上での色々な障壁がある。特に、東北は厳しい生活環境が問題視される。

寒い・不便・低収入という問題

東北でよく言われるのは、寒い・不便・低収入という3つの問題だ。本当に辛いのか、私の故郷・秋田県横手市を例に考えてみる。

冬は氷点下の豪雪地帯

秋田県の南部に位置する、私の故郷である横手市の場合、1月・2月が1年の中でも最も厳しい季節になる。

平均気温が氷点下 1度、最低気温は氷点下 5度前後まで下がり、1日の積雪量も20-30cm以上が日常茶飯事だ。

交通インフラは不十分

交通機関はどうか。電車はあるが、家から駅まで車で10分〜20分はかかり、運行も1時間に1本程度だ。路線バスも存在しているが、こちらも20-30分に1本程度の路線が多い。

基本は、自家用車での移動となる。運転免許は必須だ。

東京と同じ給与はもらえない

「仕事が無い。」とよく言われるが、実のところ仕事はある。ただ、給与は低い。正確に言えば、「会社員として働くことを考えた時に、東京で得ていた時と同等の給与をもらえる仕事は、ほぼ無い。」ということだ。

これらが、よく言われる3つの問題だが、人によっては十分に解決できる問題だ。

解決方法の1つは、テクノロジーの活用

どう解決するのか。その鍵は、様々なテクノロジーだ。きちんとテクノロジーを活用すれば、雪国での移住生活もそれほど辛くない。

オール電化の家は驚くほど暖かい

先日、弟がオール電化の家を新築し、泊まってみて驚いた。あまりにも温かく、快適すぎる。基本的に、オール電化の説明を聞くと、24時間・365日、エアコンを消さないという。気密性も高く、朝も夜も全く寒くない。

調べてみると、オール電化の賃貸アパート・マンションもある。2LDKで7万円前後なので、地域の相場(2LDKで5〜6万円)より若干高いが、首都圏に比べれば相当安いはずだ。

ネットスーパーを使い倒す

買い物するためには車で移動する必要があるが、今の時代、日常品であれば、わざわざ買い物に行く必要すらない。ネットスーパーを使い倒せば大丈夫だ。また、ネットスーパーには、重いものを運ぶ必要がないという利点もある。

イオンやセブンなどを使えば、当日でも商品が届くし、使用頻度が分かっているものについては、アマゾンや生協でも良い。

首都圏に顧客・ファンをつくる

会社員として、東京と同じ給与をもらう以外の方法を考えてみよう。その方法として、副業や起業という選択肢がある。

地方の人たちは、情報発信力と販路開拓力が弱い。もっと売れても良いのに、埋もれている資源がたくさんある。地域のコンテンツ力と自分の強みを掛け合わせたビジネスを生み出し、首都圏に売り出してファンをつくることができれば、地方からでも売れるサービスをつくることは可能だ。

以前、取材させていただいた矢野智美さん(株式会社秋田ことづくり 代表取締役社長)の様に、移住×起業で、地域の資源・魅力を再構築するビジネスが地方で増えている。

最後の課題は配偶者

独身であれば、自分の決断で全てを確定できる。しかし、結婚している場合は、配偶者の意見も無視できない。

私自身も関東出身の妻がおり、秋田に定住する上での障壁として、寒さ・雪道の運転・仕事がある。特に、ペーパードライバーの妻にとっては、雪道の運転にかなり不安があるそうだ。

日常を1つずつ解決する

今回、オール電化の快適さを知ったことで、妻の寒さに対する拒絶反応は大分解消した。それどころか、首都圏よりも家の中が暖かいことに喜び、引っ越したいとさえ言っていた。

ポイントとなるのは、地域での日常生活が自分に合うかどうかということだ。この「日常」の不安や不満を1つずつ、体験を通して解決していくことが大切だ。

体験を通じて魅力を伝える

そのためにも、まずは現地へたくさん行ってみる、長期の休みを利用して、1週間ぐらい過ごしてみると良い。

そして、その地域を好きな方が、相手に魅力を伝えるのだ。自分は秋田が好きだと言葉だけで伝えるのでなく、体験を通じて魅力を伝えるのが良い。

美味しいものを一緒に食べに行ったり、オススメのお店に行ったり、子どもと一緒に家の前で雪遊びをしたり、秋田でしか見られない景色を見に行ったりしながら、相手と魅力を共有することが重要だ。

自治体の移住対策の問題点

これは、個人から個人に対してだけの話ではない。自治体が個人に対して、地域への移住を勧める時にも同じことが言えるはずだ。

「秋田は良いところなので、ぜひ移住してください。」と伝えるだけでは、秋田に所縁がない人を巻き込んで、移住定住促進を実現することなどできない。

まずは、知ってもらい、実際に来てもらい、体験を通じて好きになってもらい、また遊びにきてもらうところから始める必要がある。

地域を好きになってもらう

それを続けていけば、確実に地域のファンは増えていく。

もし、その人たちが、秋田へ移住しないという結論を出したとしても、そこで共有できた想いや繋がりが消えるわけではない。別の場所に行っても、また遊びに来てくれるかもしれない、秋田の商品を使い続けてくれるかもしれない。

本当に重要なのは、移住者の「数値」を増やすことではなく、今後の地域の未来を応援してくれる人たちを増やしていくことだ。

東北は過酷、それでも魅力を伝えたい

沖縄や宮崎の様に温暖な気候ではない東北の移住条件は、かなり過酷だ。それでも私は、東北人としての誇りをもって、東北の魅力を伝えたい。

東北には、3つの魅力があると考えている。

志高いアントレプレナー

東日本大震災以降、東北では多くの志高いアントレプレナーが生まれた。

自分のためだけではなく、自分の暮らす地域や東北全体が真の復興を目指し、世界や社会に還元したいと考えている人たちが東北には増えている。

そういう人たちと共に時間を過ごし、自己を見つめ直すことで、自分自身の人生ミッションが明確になり、人としても成長することができる。

私自身、その様な東北の起業家・経営者と出会い、時間を共有できていることを本当に感謝している。

四季のある自然と地域資源

環境が厳しいということは、同時に、自然が豊かであるということでもある。

春は様々な花が咲き、夏は海で泳ぎ、秋は絶景スポットで紅葉を満喫し、冬には雪遊びができる。そして、豊かな自然で育った食べ物は、本当に美味しい。

今の時期であれば、樹氷がオススメだ。八甲田山(青森県)・森吉山(秋田県)・蔵王山(山形県・宮城県)の樹氷は「日本三大樹氷」と呼ばれ、その全てが東北に存在している。

多様なチャレンジができる

今、東北では様々な分野で人財が圧倒的に不足している。お伝えした様なアントレプレナーもそうだが、後継者がいない。

新規就農で農業を始める、事業継承をしてビジネスを始める、伝統工芸を受け継ぎ職人になるなど、ゼロから起こすだけでなく、地域の新たな担い手になることも十分に可能だ。

東京で得た経験・ノウハウ・スキルを活かし、自分らしい生き方や暮らし方ができるかもしれない。

東北のファンを増やす

「東北が、好き。」という人を増やすため、私は東北の魅力を伝え続けたい。

東北出身者が、自分の地域に誇りを持ち、東北の魅力を周囲の人へ笑顔で伝える。その話を聞いて、人々が東北の商品を買ったり、東北へ遊びに来たりする。

それにより、地域の経済が活性化し、地域がもっと元気になり、そこで暮らす人たちが次世代に引き継ぎたいと思える地域をつくっていく。

まずは自分自身が、東北の本当のファンであるために、その魅力を伝え続けたい。

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