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主体的な組織が社会を変える。ヤフー子会社・シナジーマーケティング 創業者 谷井 等氏に学ぶ、組織づくりの3つのポイント

主体的な組織が社会を変える。ヤフー子会社・シナジーマーケティング 創業者 谷井 等氏に学ぶ、組織づくりの3つのポイント

    CATEGORY: AREA:宮城県

今、地方では、起業家やチャレンジする人たちが集い、様々な組織やコミュニティが形成されている。

人口減少・少子化・人口流出に伴い、政府も地方創生の一環として、地域商社やDMOあるいは地域コミュニティづくりを推し進めている。

地域や社会をより良くしようと、そのような組織やコミュニティが形成され始めてはいるが、それらが持続的に進化しながら、実際に地域や社会の課題解決を実現できるかどうかが問題だ。

「志ある起業家が学び成長する」をミッションとして掲げる東北の起業家コミュニティ EO Tohoku が、2014年にYahoo! JAPANグループに参加(完全子会社化)されたシナジーマーケティング株式会社の創業者・元CEOの谷井 等氏を講師にお招きし、特別講演会を開催した。

求められる組織づくり

谷井氏は、神戸大学経営学部卒業後、1996年日本電信電話株式会社入社。1997年、合資会社DNS(デジタルネットワークサービス)を創業し、代表社員を務めた。2000年、株式会社インフォキャストに改組し、代表取締役に就任。同年、同社を楽天にバイアウト後、インデックスデジタル株式会社を設立。2005年に、組織統合・商号変更により、シナジーマーケティング株式会社を設立し、代表取締役に就任された起業家だ。

クラウド型CRMサービス「Synergy!」の提供で、国内シェアNo.1。2007年、ヘラクレス(現JASDAQ)上場。国際的な起業家表彰制度「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2007」日本大会のセミファイナリスト。2015年、同社はヤフー株式会社の完全子会社となった。

谷井氏は、世界的な起業家組織 EO の支部(チャプター)である、EO Osaka のファウンダー兼初代会長でもある。谷井氏の経験に基づく具体的なお話から多くの学びと気付きを得られる貴重な機会となった。

地域や社会をより良いものにするために、組織づくり・コミュニティづくりに携わっている人たちへ、その学びと気付きの一部をシェアしたい。

組織づくりの3つのポイント

今回は、谷井氏のお話の中から、組織づくりの3つのポイントを抽出してお伝えしたい。

□社会性を伴ったミッション・ビジョン
□組織としての差別化要因
□絶対的リーダーの必要性の有無

人を惹き付けるためには、社会性を伴ったミッション・ビジョン、そして、他の組織との差別化要因が必要だ。しかし、組織において、必ずしも絶対的なリーダーの存在は必要ではない。

社会性を伴ったミッション・ビジョンは人を惹き付ける

EO には、「志ある起業家が学び成長する」というミッションがある。そして、谷井氏が、EO Osaka という起業家組織(コミュニティ)を設立した際に掲げたビジョンは、「関西をアジア経済のハブにする」というものだ。

これは、私利私欲のためではなく、地域の起業家自身が成長し、会社を成長させ、地域経済を発展させることで、社会をより良くするためのものだ。そして、それに基づいて、国際的な起業家イベントの開催や地域の起業家支援を実現させた。

EO Osaka には、その考えに賛同した起業家が多く集まっている。社会性を伴ったミッション・ビジョンは、人を惹き付ける。

選ばれるための差別化要因

一般の企業同様、自分たち以外にも他の組織やコミュニティが存在する。

それぞれの組織やコミュニティが競争関係ではなく、協力関係を築くのが理想だ。ただ、会費や時間の都合上、1人の人間が全ての組織やコミュニティに属してコミットするのは難しい。1つまたはいくつかを選択することになる。

EOの場合は、グローバルな組織・フラットな関係性(Peer to Peer)を差別化要因として掲げている。それにより、海外に視野を広げてチャレンジしたい起業家や共に成長を目指す仲間を探している起業家が集うことになる。

組織やコミュニティ同士の勝ち負けではなく、目的やビジョンを共有できるメンバーを集めるために、差別化要因は重要となる。

組織に強烈な絶対的リーダーは必要か?

旧体制の企業のように、強烈な絶対的リーダーは、これからの組織やコミュニティに必要だろうか。時流を考えると、必ずしもそうではない。

実際、EO という組織は、会長が1年ごとに変わり、メンバーそれぞれが会長を経験する権利がある。そして、誰もその肩書きや権威に固執しない。そもそも、多様で我の強い起業家(リーダー)を1人の人間が完全統治するなどできないだろう。

熱量の高い組織ほど、多様なメンバーが集い、個々の意識も高いはずだ。そこで重要なのは、絶対的リーダーよりも「全員が、きちんと1杯の水を場に持ってくること」である。

それぞれが主体的に1杯の水(ノウハウ・経験・解決策)を持ち寄り、それを場に提供し、そこに集まった水から1杯の水(学び・気付き・改善策)を持ち帰ることが、個々の成長につながり、組織・コミュニティを進化させるのだ。

主体的な組織が社会を変える

谷井氏は、最後に次のように伝えてくれた。

組織は、創生と保守を繰り返します。いかに、組織に主体性を持たせるかが重要です。

組織・コミュニティのミッション・ビジョンに向けて、全員が主体的に動く。そのような主体性によって進化し続ける組織こそが、これからの社会をより良くしていくのだ。