「既にある未来の可能性を実現する」というビジョンを掲げ、コミュニティづくりを起点にソーシャル・イノベーションが起こる仕組みをつくるNPO法人をご存知ですか。
京都を拠点に全国各地でプロジェクトを行っているNPO法人ミラツクです。
「鹿児島未来170人会議」において、代表の西村勇也氏による「社会が変わる協働の仕組み」と題した講演が行われました。
ミラツクが描く未来とは?
すでにある未来とは、「どこかで誰かが取り組んでいる」という意味です。
どこかで誰かがやっているけれど、広まっていない・世の中的には実現されていないという状況のときに、協力者を連れてきたり、広まるようにしたりすることが、ミラツクが取り組む事業。
ミラツクが社会課題の1つに向かって解決していこうという姿勢ではなく、既に取り組んでいる人を中心に、より早く・より大きく、実現できる場や状況を作っていくということを行っています。
「地域」は協働に向いている
西村氏が最初に「地域」との協働に関わったのは、山形の庄内にある温泉街復活プロジェクトです。
温泉ができてから1299年目の節目に、1400年をこの温泉街が迎えるにはどうすれば良いのかということをテーマに話し合いの場が持たれました。
続々と温泉旅館が廃業し、危機感がつのっていました。
温泉旅館や、地域の人々が集まるその場で、西村氏は衝撃を受けたと言います。
「感動的に行動が早かったんです。
13個アイデアが出て、11個が次の日から実行されて、その内半分は1年間継続されて、一部は法人になって現在も継続されています。
温泉旅館としても、口コミサイトで上位になるなど変化がありました。
それくらい行動が早い。
地域の人の行動が1番早いと知ったんです」
今や、全国各地の協働プロジェクトに関わるミラツクの原点には、地域の人は早いという原体験があったのです。
得意分野を繋いでいくことが重要
「協働」と聞いた時に、多くの人が課題に思うことに「組織風土の違う組織や、個人がどのように振る舞えば協働に向けて動けるのか」という問いがあるのではないでしょうか。
西村氏は、ソーシャル・イノベーションとは何かということを掘り下げると見えてくると言います。
「イノベーションとは、『新結合』つまり新しい組み合わせを作るということです。
そしてイノベーションを掘り下げると4つの価値にわかれていることがわかります。
「事業性」「顧客価値」「技術価値」「事業価値」です。
これらはトレードオフの関係ではなく、両立可能です。
NPOは社会価値が得意です、企業は事業価値が得意です、というふうにそれぞれ得意分野があるんですね。
単に組み合わせるのではなく、得意なことだけをつなぎ合わせるということをやっています。
NPOや企業など関わる人達を集め、これはこういう社会課題に対応できるんじゃないかということを一緒に考える。
そうすることで、本当の意味でコラボレーションが生まれるということをやっています」
協働で行う地域づくり
協働する個人、団体が得意分野を活かすようなかたちで関わり、一緒に考える場を持つことで、本当の意味での協働が生まれていくことを、様々な事例を交えて語られたミラツク西村氏。
地域の課題解決に向けて、「協働」の仕組みを取り入れることで、プロジェクトを実際に前進させ、結果的に社会を変えいくという試みがますます増えることが期待されます。